暴行事件で初回接見
- 2020年5月26日
- コラム
暴行事件と初回接見について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
【ケース】
Aさんは,千葉県香取市の駅のホームで電車を待っていたところ,階段を駆け下りてきたVさんにぶつかられました。
幸いにも2人に怪我はありませんでしたが,AさんとVさんは口論になりました。
そんな中,Aさんが待っていた電車が到着したことから,AさんはVさんの顔面につばを吐いてその場を後にしようとしました。
ですが,Vさんに身体を掴まれて乗車を阻止され,やがて駆けつけた香取警察署の警察官により暴行罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの母親は,弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)
【暴行罪について】
刑法(一部抜粋)
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行罪は,他人に対して「暴行」を加え,その他人が「傷害」を負わなかった場合に成立する可能性のある罪です。
「傷害」とは,傷害罪における「傷害」と同様,人の生理的機能の侵害を指すとされています。
生理的機能の侵害というのは,たとえば出血,骨折,意識障害,精神疾患などが挙げられます。
そのため,「暴行」によってこうした心身の不調が生じなかった場合には,傷害罪ではなく暴行罪が成立すると考えられます。
「暴行」と聞くと,多くの方は殴る蹴るといった行為を想像されるかと思います。
ですが,暴行罪における「暴行」とは,不法な有形力・物理力の行使一切を指すと考えられています。
こうした定義から,「暴行」には人に向けられた様々な行為が含まれることになります。
ただし,暴行罪は故意の行為を想定しているので,過失(簡単に言えば不注意)による行為については成立の対象となりません。
今回のケースでは,AさんがVさんの顔面につばを吐きかけています。
このような行為も,不法な有形力・物理力の行使として「暴行」に当たると考えられます。
そうであれば,Aさんには暴行罪が成立することになるでしょう。
【初回接見の意義とメリット】
逮捕されている方と行う面会は,刑事事件の専門用語で「接見」と言われることがあります。
「接見」には弁護士が行うもの(弁護士接見)とそれ以外の者が行うもの(一般接見)がありますが,弁護士接見のみを指して「接見」と言うこともあります。
初回接見の「接見」は,弁護士接見のことを指すのが通常だと考えられます。
初回接見には,単なる1回目の接見という意味以上の意味が込められています。
それは,初回接見が弁護士からアドバイスを受ける最初の機会であり,その後の振る舞い方を決める出発点となるからです。
多くの方にとって,逮捕されてただただ取調べを受けるだけの日々を過ごすというのは初めての経験です。
それにもかかわらず,取調べで得られた供述は上手く対処しなければ当然のように証拠とされ,最悪の場合やっていないことをやったと決めつけられてしまいます。
更に,たとえば被害者との示談交渉を要する事件であっても,弁護士を通さなければ交渉が難しいというケースは珍しくありません。
このような諸問題を解決するうえで,弁護士による早期の接見というのは非常に重要となるのです。
ですので,もしお近くの方が逮捕されてしまったら,可能な限り早く弁護士に初回接見を依頼されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件のプロである弁護士が,お申込みから24時間以内に初回接見を行います。
ご家族などが暴行罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。