強盗未遂罪で情状弁護
- 2020年6月2日
- コラム
強盗未遂事件と情状弁護について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
【ケース】
Xさんは、千葉県にある大学に通う大学3年生です。Xさんは、実家がそれほど裕福ではないため、奨学金を借りながら大学生活を送っていました。
Xさんは、大学でウィンタースポーツのサークルなど複数のサークルに所属しており、お金が必要で、バイトに時間を費やしていましたが、その結果、大学の成績が芳しくなく、奨学金を受け取ることができなくなってしまいました。
実家に助けを求めることができないXさんは、やむを得ないという気持ちでコンビニ強盗をすることにしました。
ある日の早朝、自宅から離れた場所のコンビニに向かい、持ち出してきた包丁を店員に突きつけお金を要求しました。
ところが、店員はすぐに店の奥に引っ込んでしまい、レジを開けることができなくなったことから、Xさんは逃走しました。
しかし、後日防犯カメラの映像から犯人が特定され、早朝、千葉県千葉中央警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです。)
【強盗罪について】
刑法第二百三十六条
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
強盗罪は、暴行または脅迫を手段として他人の物を奪取するという、財産犯の中でも特に重い犯罪です。
強盗罪における「暴行または脅迫」は、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の強度のものである必要があると考えられています。
「相手方の犯行を抑圧するに足りる程度」とは、相手の体格や武器所持の有無など多様な事情を考慮して決まると考えられていて、一概に判断することは難しいですが、ナイフやけん銃を突きつけたようなケースの場合、一般的には相手方の犯行を抑圧するに足りる程度に達していると考えられています。
また、強盗を行った際に、他人を死傷させた場合、強盗致死傷罪として更に重い刑が科されるおそれがあります。
強盗致傷罪の法定刑は無期または6年以上の懲役、強盗致死罪の法定刑は死刑または無期懲役となっており、有罪になった場合は極めて重い刑が見込まれます。
強盗致傷罪として立件、起訴に至った場合には、裁判は通常のものではなく裁判員裁判として裁かれることになります。
強盗の場合、未遂犯も処罰されます(刑法243条、236条)ので、事例のようなケースで刃物を突き付けたものの、実際には金銭を受け取ることができなかったという場合にも、刑事事件となります。
ただし、既遂事件(お金まで奪ってしまったケース)と比べると、処罰は軽減される可能性があります(刑法43条)。
【情状弁護の重要性】
強盗罪は法定刑の下限が5年以下の懲役となっており、社会的にも重大犯罪の一つとして認知されている罪です。
そのため、強盗罪で有罪となった場合、示談が成功しているなどの特別な事情がない限り、即実刑判決を受け刑務所に収容されてしまう可能性が高いです。
そのような重大事件においては、弁護士の情状弁護により刑の減軽を目指さなければなりません。
情状弁護とは、裁判で被告人側の事情をきちんと主張し、被告人の立場から見て過度に重い判決が下るのを回避するための弁護活動です。
刑事裁判においては、検察官が犯罪を立証し、裁判官が有罪か無罪かおよび有罪となった場合の量刑を判断することになります。
被告人としては、事件の概要が検察官の主張と合致している場合、細部で自分の主張や考えと違っている場合であっても、認めてしまうケースがあります。
しかし、その細部の違いによって、執行猶予付きの判決となるか、実刑判決となるかの分かれ道となる可能性もあります。
情状弁護の重要な役割は、被告人側の事情をきちんと法廷で明らかにすることで、裁判官に公平な判断を促すという点にあるのです。
上記事例では、情状弁護として、Xさんの生活苦に至った理由等を丁寧に主張していくことが必要になります。
具体的にいえば、単に「サークル活動に熱心だったのはいいが、学業が本業のはずの大学生がバイトにうつつを抜かしてその結果奨学金を打ち切られてしまったのだから自業自得で、それを理由にコンビニ強盗するとは何事だ」というだけで済ませてしまったいいのかということです。たとえば、サークル活動に熱心だった理由は何だったのか、奨学金以外の選択肢を探した結果もダメで苦境に陥っていたのではないかなどといった観点を探る努力を行うことは重要です。
こうした場面では弁護士が力を発揮できるので、特に強盗のような重大事件においては、一度弁護士に情状弁護を依頼することを検討してみてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、強盗のように重大な刑事事件についても、豊富な経験に基づき最適な情状弁護を行うことができます。
ご家族などが強盗罪の疑いで逮捕されたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所(0120-631-881)にお電話ください。
刑事事件・少年事件専門の法律事務所として迅速に初回接見を行い、充実した情状弁護を行えるよう入念に事件を考察いたします。