淫行と取調べ対応
- 2020年6月13日
- コラム
淫行と取調べ対応について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
【ケース】
会社員のAさん(31歳)は、SNSを利用して,10代から20代の女性複数名と連絡を取っていました。
中でも,千葉県松戸市にVさん(16歳)と特に話が合い,頻繁に連絡を取っていました。
ある日,Aさんが冗談まじりにVさんをデートに誘ったところ,Vさんが誘いに乗ったことから遊びに行く約束をしました。
当日,AさんとVさんは買い物やカラオケを楽しみ,やがて流れでホテルへ行って性行為をしました。
その数か月後,Vさんが補導されたことでAさんとの関係が明らかとなり,Aさんは千葉県青少年健全育成条例違反(淫行)の疑いで松戸警察署にて取調べを受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は、Aさんに取調べ対応を伝えました。
(フィクションです。)
【青少年健全育成条例違反(淫行)の罪について】
18歳未満の者と性行為を行った場合,各都道府県が定める青少年健全育成条例(地域により名称に差異あり)により罰せられる可能性があります。
千葉県においても、「千葉県青少年健全育成条例」が定められており、いわゆる「淫行」の禁止規定を置いています。
千葉県青少年健全育成条例(一部抜粋)
第二十条 何人も、青少年に対し、威迫し、欺き、又は困惑させる等青少年の心身の未成熟に乗じた不当な手段によるほか単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められない性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
「淫行」とは,引用した条文にあるとおり,不当な手段を用いたり自己満足としか見られなかったりするような未成年との性的な行為を指します。
結婚を前提とするなど真摯な交際関係の下における性行為等は適用外ですが,その認定はかなり厳しいのが一般的です。
今回のケースでは,AさんがSNSを通じて知り合った16歳のVさんとの間で,初めて会ったその日に性行為を行っています。
こうした場合,Aさんの行為が「淫行」に当たるとして条例に違反する可能性は高いと考えられます。
千葉県における罰則は2年以下の懲役または100万円以下の罰金なので,Aさんはその範囲で刑を科されるおそれがあるでしょう。
【取調べにおける被疑者の権利】
刑事事件を起こした被疑者・被告人として取調べを受ける場合,被疑者に認められている権利を押さえておくことが重要です。
まず,警察などから何か聞かれた際に供述を拒否することができます。
これがいわゆる黙秘権であり,人権について定められている憲法においても保障されている非常に重要な権利です。
次に,仮に警察などの求めに応じて供述をしても,その供述が記載された調書への署名・押印を拒否することができます。
被疑者・被告人の供述を記録した調書は,被疑者・被告人本人の署名押印がなければ裁判で証拠として用いることができません。
そのため,特に自己に不利益な内容の調書については,署名押印を拒否して証拠として利用されるのを阻止するという手があります。
また,警察などから供述調書の内容を確認するよう求められた際,不満な点があれば加筆や修正を求めることができます。
これにより,自身が話したものと異なる内容が調書に記載され,証拠として利用されてしまうのを防ぐことができます。
以上で見たように,被疑者・被告人は捜査機関に対して権利を行使することが可能となっています。
ただ,これらをどのように活用すべきかは個々の事案によるところがあり,「権利だから」と行使し続けると事実上の不利益が生じる場合があります。
ですので,もし取調べを受けられるのであれば,どのように対応すべきか事前に弁護士と相談しておくことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、個々の事案に合わせて取調べ対応をしっかりとお伝えします。
淫行を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。