万引きが事後強盗罪になり逮捕②
- 2020年6月20日
- コラム
万引きと逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
【ケース】
Aさん(21歳)は,競馬で負けが続いたことでお金に困っており,やがてその日に食べるものを万引きして手に入れるようになりました。
ある日,Aさんが千葉県千葉市若葉区内のスーパーマーケットで万引きをしたところ,店を出たところで警備員と思しき男性Vさんに声をかけられました。
これに驚いたAさんは,「とにかく逃げなければ」という考えで頭がいっぱいになり,近くにあったカート数台をVさんに押しつけました。
AさんはVさんがひるんだすきに逃走しましたが,後日事後強盗罪の疑いで千葉東警察署に逮捕されました。
そこで,弁護士がAさんの両親の依頼で接見に向かいました。
(フィクションです。)
【逮捕の種類と概要】
前回の記事では,今回のケースでAさんに成立すると考えられる事後強盗罪について見ていきました。
今回の記事では,刑事事件において頻繁に目にする逮捕について取り扱います。
逮捕とは,刑事事件の被疑者に対して行われる身体拘束を指します。
厳密に言うと,身体拘束のうち開始から1~2日が逮捕で,それ以降は勾留という手続ですが,身体拘束されている状態全般を便宜上「逮捕されている」と言うこともあります。
逮捕には,①通常逮捕,②現行犯逮捕,③緊急逮捕の3つがあります。
まず,①通常逮捕とは,捜査機関が事前に裁判官の許可を受けて逮捕状を取得し,その逮捕状を被疑者に示して行う逮捕です。
警察が自宅に来て行うというのが多く見受けられますが,警察から呼び出しを受けて取調べを受けたあとで警察署にて行われることもあります。
自宅で行われる場合には,逮捕と共に捜索・差押(いわゆる家宅捜索または押収)が行われることもあります。
次に,②現行犯逮捕とは,今正に犯行に及んでいたり,犯行を終えた直後だったりする被疑者に対して行う逮捕です。
犯罪の明白性と緊急性の高さから,事前に裁判官の審査を受けて逮捕状を取得しておく必要がない点に特徴があります。
ただ,逮捕状を取得する必要がない分,法律上その要件は厳格になっています。
最後に,③緊急逮捕とは,一定の重大な犯罪について充分な疑いがある場合に,逮捕後に逮捕状を取得することを条件として行う逮捕です。
新聞などで「緊急逮捕」という文字を見かけることがあるかもしれませんが,法律上の「緊急逮捕」とは必ずしも意味が一致しないことがある点に注意が必要です。
実務上は通常逮捕や現行犯逮捕と比べて割合が低くなっています。
ちなみに,逮捕後に逮捕状を取得できなかった場合は,緊急逮捕した被疑者を直ちに釈放しなければなりません。
逮捕の主たる目的は,被疑者による逃亡と証拠隠滅の防止にあります。
そのため,重大な事件を起こしたことに対する制裁として,あるいは犯罪をしたことが確実だから逮捕されるわけではありません。
ただ,重大な事件については,刑罰の重さから逃亡や証拠隠滅に及ぶ可能性が高いとして,逮捕がされやすくなる傾向にあります。
その点において,事件の重大性と逮捕の可能性とは必ずしも切っても切れない関係にあると言えます。
上記のとおり,逮捕の目的は逃亡と証拠隠滅の防止が主なので,ある事件で逮捕されるかどうかもそうした視点が重要となります。
その判断については,個々の事案の内容や被疑者の人柄などに左右される部分があるので,逮捕を不安に思ったら一度弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、逮捕に関する疑問に丁寧にお答えします。
万引きをしてしまったら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。