刑事裁判に関する基礎知識を解説
- 2020年8月11日
- コラム
刑事裁判に関する基礎知識について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
◇刑事裁判とは◇
警察に逮捕されたり、在宅で捜査を受けると、その後検察庁に事件が送致されます。
そして検察官が、被疑者を起訴するかどうかを判断するのですが、ここでいう「起訴」には、罰金を求める「略式起訴」と、刑事裁判で裁判官に刑事処分を委ねる「正式起訴(公判請求)」の2通りがあります。
「略式起訴」の場合、刑事裁判は開かれず罰金を納付すれば刑事手続きは終了になりますが、「前科」が付いてしまいます。
「正式起訴(公判請求)」の場合、公開の刑事裁判によって刑事処分が決定します。
一般の刑事裁判は、裁判所の法定で開かれ、被告人を追及する検察官、被告人を弁護する弁護士、そして被疑者の刑事処分を決定する裁判官が参加して行われますが、一部の悪質な事件の刑事裁判は、裁判員裁判となります。(裁判員裁判については後述)
また刑事裁判は、公開されているので一般の方でも傍聴することができます。
◇判決◇
刑事裁判で被告人に言い渡される刑事処分を「判決」と言います。
判決は、大きく「有罪」と「無罪」に分かれ、有罪判決の場合、刑としては、軽い方から順番に、科料、拘留、罰金、禁錮、懲役、死刑があります。
日本の刑事裁判において有罪率は99.9%以上と言われているほどですので、刑事裁判で「無罪」が言い渡されることは滅多にありません。
ただ無罪の可能性がないわけではありませんので、刑事裁判で無罪を目指す方は、刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
◇判決に納得できない場合は?◇
刑事裁判は一度きりではありません。
判決に不服がある場合は、3回まで裁判を受ける事ができます。
この制度は「三審制」と呼ばれており、最初の刑事裁判での判決に納得ができなくて、2回目の再審を要求することを「控訴」と言います。
そして控訴審の判決にも納得ができなくて、3回目の再審を要求することを「上告」と言います。
3回の刑事裁判はそれぞれ違う裁判所で審議されるのですが、最初の刑事裁判は地方裁判所や簡易裁判所で開かれ、控訴審は、全国の主要都市にしか設置されていない高等裁判所で開かれます。
そして3回目の上告審は、東京にしかない最高裁判所で審議されることになります。
◇控訴(上告)の申立て◇
刑事裁判の判決に不服がある場合は、判決の言い渡しから2週間以内に控訴(上告)を申し立てなければなりません。
この期間を過ぎてしまえば、判決が確定してしまうので注意しなければなりません。
また一度した控訴(上告)を取り下げた場合は、その時点で判決が確定し、再び控訴(上告)することはできませんので、控訴(上告)を取り下げる際は選任している弁護士と相談するようにしましょう。
◇裁判員裁判について◇
冒頭で、被告人を追及する検察官、被告人を弁護する弁護士、そして被疑者の刑事処分を決定する裁判官が参加して行われることを解説しましたが、一部の事件については裁判員が参加する裁判員裁判によって刑事裁判が開かれます。
まず裁判員裁判は、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪、現住建造物等放火罪、強制性交等致傷罪、危険運転致死罪、保護責任者遺棄致死などのように、人の生命に関わる悪質な事件が対象となります。
通常の刑事裁判は裁判官が被告人の刑事処分を決定しますが、裁判員裁判では、この裁判に参加している裁判員によって被告人の刑事処分が決定します。
裁判員裁判に参加する裁判員は、選挙権を有する国民から無作為に選出されます。
ただ裁判員裁判が開かれるのは一審だけで、控訴審、上告審の裁判員裁判はありません。
◇刑事裁判に強い弁護士◇
刑事裁判において刑事処分が決定するので、刑事手続きにおいて刑事裁判は、非常に大切な場面です。
刑事裁判で無罪を目指している方、罰金や執行猶予付きの判決で刑務所への服役を免れたい方は、刑事事件に強い弁護士を選任して万全の体制に刑事裁判に臨むことをお勧めします。