飲酒運転の人身事故で逮捕
- 2020年9月1日
- コラム
飲酒運転の死亡事故で逮捕された方の刑事弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
飲酒運転の人身事故で逮捕
Aさんは、お酒を飲んで千葉市美浜区内で自動車を運転中、横断歩道を横断していた歩行者に気付かず、歩行者と接触する交通事故を起こしてしまいました。
飲酒運転で事故を起こしたAさんは怖くなり、その場を離れて3キロメートルほど自動車で逃走しましたが、被害者の怪我が気になり事故現場に戻りました。
すると、既に駆け付けていた千葉県千葉西警察署の警察官に凹んだボンネットを見とがめられて、Aさんは職務質問を受けました。
その後Aさんは、呼気検査を受け、呼気1リットルにつき0.35ミリグラムのアルコールが検出されてしまいました。
そしてAさんは、ひき逃げと、飲酒運転で現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)。
◇Aさんに成立する犯罪を解説◇
過失運転致死傷罪~人身事故~
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させる犯罪です(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)。
傷害したにとどまる場合は「過失運転致傷罪」となり、死亡させてしまうと「過失運転致死罪」となります。
過失運転致死傷罪の法定刑は「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」となっています。
ところで、深く酔っている状態で運転して人身事故を起こした場合には、より重い刑罰が定められている危険運転致死罪が成立する可能性もあります。
今後の捜査の経過によっては、嫌疑が危険運転致死罪に切り替えられる可能性もゼロではありません。
このような場合は、危険運転致死罪が成立しないと言える理由を説得的に主張する必要があります。
また、取調べに臨む前に、弁護士から十分なアドバイスを受ける必要があると思われます。
道路交通法違反(酒気帯び運転)~飲酒運転~
道路交通法第65条1項は、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」としています。
そして同法第117条の2の2第3号によると、酒気を帯びて自動車を運転し、その際に身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあった場合、酒気帯び運転が成立することになります。
「身体に政令で定める程度」とは、「血液一ミリリットルにつき〇・三ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラム」となっています。
酒気帯び運転の、法定刑は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
Aさんは事故を起こした直後に行われた呼気検査により、呼気1リットルにつき0.35ミリグラムのアルコールを保有していることが発覚しました。
上記の事実関係によれば、Aさんに酒気帯び運転が成立する事は間違いないでしょう。
※ アルコール濃度が極端に高くなくても、酒に弱い体質のため深く酔って状態だった場合には、より重い酒酔い運転と判断される可能性もあります。
罰則はより重い「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」です。
救護義務違反~ひき逃げ~
ひき逃げとは、自動車やバイクなどの運転中に人身事故・死亡事故を起こした場合に、負傷者の救護義務や危険防止措置義務を怠って事故現場から離れることで成立する犯罪です(道路交通法第117条1項及び2項)。
救護義務違反は「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」という重い刑罰が科される可能性があります。
◇Aさんの刑事弁護活動◇
今回のケースはかなり悪質な部類の交通事故であり、被害者の怪我の程度によっては、初犯であっても、実刑判決の可能性があるでしょう。
刑事処分の減軽を望むのであれば、被害者と宥恕条項のある示談を成立させるだけでなく、保有する車を処分したりして再犯のおそれがないことを証明する必要があるでしょう。
◇交通事件に強い弁護士◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、ひき逃げ事件のような交通事件に特化した法律事務所です。
千葉市内で、ご家族が飲酒運転中に人身事故を起こし、逮捕されてしまった方は是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部にご相談ください。