路上駐車の車に落書き 逮捕される可能性は?
- 2020年8月24日
- コラム
路上駐車の車に落書きをした器物損壊事件で警察に逮捕されるかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
◇車に落書き(器物損壊事件)◇
千葉市内に住むAさんの自宅周辺の路上には、夜になると路上駐車する車が多くあります。
毎晩、仕事から車で帰宅するAさんは路上駐車の車が邪魔で、これまで何度か110番通報して、千葉東警察署の警察官に取締りをしてもらったことがありますが、未だに路上駐車がなくなりません。
そんな中Aさんは、路上駐車している車のボンネットに「駐車違反するな」等と落書きしたのです。
これまでAさんは10台以上の車に落書きをしていますが、ある時、インターネットで自分の行為が器物損壊罪に当たることを知り、自分が警察に逮捕されるのではないかと不安になりました。
(フィクションです)
◇器物損壊罪◇
人の物を壊したり傷付けると器物損壊罪となります。
器物損壊罪は刑法第261条に規定されている法律で、法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。
器物損壊罪でいうところの「壊す」とは、その物の効用を害することを意味するので、その物を本来の目的に供することができない状態に至らしめる場合も含みます。
したがって、飲食店の食器類に小便をして、食器として利用できなくする行為に対しても器物損壊罪が適用されたり、自転車のサドルを持ち去り、自転車を使用できなくする行為に対して器物損壊罪が適用される場合もあります。
つまり物質的に壊すという行為だけに、器物損壊罪が適用されるわけではないのです。
ちなみに、器物損壊罪でいうところの「物」には、植物や動物も含まれますので、他人が飼っているペットを傷付けたり、殺したりした場合も器物損壊罪が適用されます。
Aさんのように車のボンネットに落書きをする行為は、器物損壊罪に該当する可能性が非常に高いです。
仮に水で洗い流すとすぐに消えてしまうような水性インクを用いて落書きしていた場合は、器物損壊罪に該当しない場合もあります。
◇器物損壊罪で逮捕されるの?◇
今回の事件でAさんが逮捕される可能性についてですが、まず器物損壊罪の法定刑を考えると、それほど思い刑事罰が定められているわけではないので逮捕される可能性は低いでしょうが、Aさんが10件以上の器物損壊事件を起こしていることを考えると、逮捕される可能性は十分に考えられます。
◇器物損壊罪は親告罪◇
器物損壊罪は親告罪です。
親告罪とは、被害者等の告訴がなければ控訴を提起(起訴)することのできない犯罪のことで、器物損壊罪の他に、名誉棄損罪や侮辱罪、過失傷害罪や未成年者略取罪等があります。
また親族間の窃盗罪や詐欺罪、横領罪、恐喝罪、不動産侵奪罪などの、財産に関する罪も親告罪となります。
◇器物損壊罪に強い弁護士◇
つまり被害者と示談して、告訴を取り下げてもらうことができれば、起訴されることはありません(不起訴処分)。
告訴されて、Aさんのように警察に呼び出されて取調べを受けたとしても、その後被害者との示談が成立すれば刑事処分を免れることができるので、前科、前歴をさけたい方は、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では、器物損壊事件に関するご相談を承っております。
千葉市の刑事事件でお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部にご相談ください。