国外の刑事事件 留学先で傷害事件を起こしたら
- 2020年9月4日
- コラム
(国民の国外犯)留学先で起こした傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
留学先の傷害事件
鎌ヶ谷市内の大学院に通うAさんは、つい先日までアメリカに語学留学していました。
留学している間、Aさんは同じ大学院の日本人留学生の女性と交際していましたが、帰国する数日前に交際相手と口論になり、交際相手に暴行して、怪我をさせていました。
交際相手は、腕や足に全治3週間の打撲傷を負っていましたが、Aさんの謝罪を受け入れてくれて、現地では警察に何も届け出をしませんした。
しかしAさんの帰国を機に二人の交際が終了し、その後日本に帰国した元交際相手の女性が、アメリカでAさんから受けた暴行で傷害を負った事実で、地元にある千葉県鎌ヶ谷警察署に傷害罪の被害届を提出したのです。
警察署からの電話でこの元交際相手に被害届を提出された事実を知ったAさんは、警察署に出頭する前に、外国で起こしてしまった刑事事件を取り扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部に相談しました。
(フィクションです。)
日本人が国外で起こした刑事事件
刑法第3条に「国民の国外犯」が規定されています。
日本国外において、この条文に規定された犯罪を犯した場合、日本の法律が適用されます。
国民の国外犯に規定されているのは
1.刑法第108条(現住建造物等放火)及び第109条第1項(非現住建造物等放火)の罪、これらの規定の例により処断すべき罪並びにこれらの罪の未遂罪
2.刑法第119条(現住建造物等浸害)の罪
3.刑法第159条から第161条まで(私文書偽造等、虚偽診断書等作成、偽造私文書等行使)及び前条第5号に規定する電磁的記録以外の電磁的記録に係る刑法第161条の2の罪
4.刑法第167条(私印偽造及び不正使用等)の罪及び同条第2項の罪の未遂罪
5.刑法第176条から第181条まで(強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、未遂罪、強制わいせつ等致死傷)及び第184条(重婚)の罪
6.刑法第198条(贈賄)の罪
7.刑法第199条(殺人)の罪及びその未遂罪
8.刑法第204条(傷害)及び刑法第205条(傷害致死)の罪
9.刑法第214条から第216条まで(業務上堕胎及び同致死傷、不同意堕胎、不同意堕胎致死傷)の罪
10.刑法第218条(保護責任者遺棄等)の罪及び同条の罪に係る刑法第219条(遺棄等致死傷)の罪
11.刑法第220条(逮捕及び監禁)及び第221条(逮捕等致死傷)の罪
12.刑法第224条から第228条まで(未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、被略取者引渡し等、未遂罪)の罪
13.刑法第230条(名誉毀き損)の罪
14.刑法第235条から第236条まで(窃盗、不動産侵奪、強盗)、刑法第238条から第240条まで(事後強盗、昏酔強盗、強盗致死傷)、刑法第241条第1項及び第3項(強盗・強制性交等及び同致死)並びに第243条(未遂罪)の罪
15.刑法第246条から第250条まで(詐欺、電子計算機使用詐欺、背任、準詐欺、恐喝、未遂罪)の罪
16.刑法第253条(業務上横領)の罪
17.刑法第256条第2項(盗品譲受け等)の罪
です。
傷害事件
暴行した相手に傷害を負わせると「傷害罪」の適用を受けます。
傷害罪は、刑法第204条に規定されている法律で、上記のとおり国民の国外犯が適用されるので、日本国外で起こった刑事事件であっても日本の警察が捜査することとなりますが、実際に日本で起こった刑事事件と同様の捜査が行われるとは限りません。
例えば、日本で起こった傷害事件であれば、防犯カメラの映像等の客観的な証拠が捜査されることになりますが、この様な軽微な傷害事件で捜査員がアメリカまで派遣されて証拠収集をする可能性は非常に低いでしょう。
犯行を裏付ける客観的な証拠が存在しなければ、事件当事者の供述が基となって捜査が進むことになるので、警察等の取調べに対しては慎重に対応する必要があります。
国外の刑事事件にも対応
外国における刑事事件で捜査を受けている方、外国で起こした傷害事件で被害届を提出されてしまった方は、国外の刑事事件にも対応している、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
鎌ヶ谷市で、刑事事件に強い弁護士のご用命は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。
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