動物殺傷で逮捕 刑事事件に強い弁護士が解説
- 2020年9月23日
- コラム
動物虐待で警察に逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説いたします。
動物虐待で警察に逮捕
千葉県富津市に住むAさんの自宅に隣接する公園には、飼い主のいない、いわゆる野良犬や野良猫が多く住み着いています。
数年前から、飼い主に捨てられた犬猫が、餌を求めて住み着くようになり、近所の人が餌を与えて面倒を見ていたのですが、Aは鳴き声に悩まされる日々を送っていました。
そして精神的に追い詰められたAさんは、数カ月前から公園に住み着いている犬や、猫を自宅に連れて帰り、薬品を混ぜた餌を与えたり、包丁で刺したりして殺傷していたのです。
殺傷した犬や猫の死骸を公園に遺棄していたところ、近所の人から通報を受けた千葉県富津警察署が捜査に乗り出し、Aさんは逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
動物愛護法違反
正当な理由もなくAさんのように動物を殺傷すればと、動物愛護法に違反することになります。
動物愛護法とは、動物の愛護に加え、適切な管理を求めることで、社会・他者に危害を及ぼすことも防止しようとする法律ですが、この法律で、動物の虐待等が禁止され、違反した場合には厳しい罰則が設けらています。
動物愛護法は、今年の6月に一部が改正され、動物に対する殺傷行為や、虐待行為の罰則が強化されています。
ちなみに、この法律の対象となる、殺傷や虐待が禁止されている動物(いわゆる「愛護動物」)とは、牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひるの他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するもの(同法第44条第4項参照)です。
罰則の強化
この法律の第44条で、動物の殺傷や虐待を禁止しています。
その内容は、まず殺傷行為については、「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」を規定しており、改正前までは「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」であったことに比べると大きく厳罰化されました。
また、虐待や遺棄行為については、改正前までは「100万円以下の罰金」しか罰則が規定されていませんでしたが、6月の改正で罰則に懲役刑が加わり「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と厳罰化されました。
動物の虐待とは?
虐待の定義については、動物の身体に外傷が生じるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせるといった、いわゆる傷害行為を意味しますが、そのほかにも、食事や水を与えない、酷使や不当な拘束で衰弱させる、ケガや病気を放置する、排泄物が堆積するなどの劣悪な環境で飼育する、といった内容も含まれるとされています。
動物殺傷事件で逮捕された場合は弁護士に相談を
人の飼っているペットを殺傷してしまった場合、飼い主に謝罪と賠償をすることで、刑事処分の減軽が期待できますが、今回のような、飼い主のいない犬や猫を殺傷した場合ですと、謝罪や、賠償をする相手がいません。
そのため一見すると、有効的な弁護士の活動がないように思ってしまいますが、刑事事件における刑事弁護人の活動には制限がなく、弁護士は、被疑者、被告人の権利を守り、被疑者、被告人が必要以上の不利益を被ることがないように手を尽くします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。