【少年事件】悪質ないたずらが重大事件(殺人未遂事件)に発展
- 2020年11月13日
- コラム
歩道橋から道路に向けて自転車を投げ捨てた悪質ないたずらによって逮捕されてしまった14歳の少年について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説いたします。
悪質ないたずらが重大事件(殺人未遂事件)に発展
千葉県勝浦市に住む14歳のAくんは、ごくごく一般的な家庭環境で育てられましたが、中学校に進学してから親や中学校の先生とのトラブルが絶えず、最近は、学校を休んで、先輩の家に入り浸っています。
そんな中、Aくんと友人たちは、歩道橋から国道に自転車を投下する悪質ないたずらをしてしまいました。
自転車が走行中の自動車を直撃することはありませんでしたが、自転車をよけようとしたトラックが、別の乗用車に衝突し、トラックの運転手が重傷を負ったようです。
事件後Aくん等は現場から逃走していましたが、付近の防犯カメラに犯行の様子が撮影されており、後日、千葉県勝浦警察署から呼び出されたAくん等は、殺人未遂罪の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
悪質ないたずらでは済まされない
Aくん等の行為は、殺人未遂罪や、傷害罪となる可能性があります。
また道路交通法違反の罪(道路における禁止行為)にも問われる可能性もあります。
Aくん等の行為は、決していたずらでは済まなさそうです。
殺人未遂罪
殺人の実行に着手したが、これを遂げなかった場合に成立するのが殺人未遂罪です。
多くの自動車が走行している国道に向かって、ある程度の高さから、自転車を投下する行為には、自転車が自動車を直撃しなくても、重大な事故を引き起こし、その結果として他人の生命を害する現実的危険性があると認められるでしょう。
ですのでAくん等に明確な殺意がなかったとしても、未必の故意が認定されて、殺人未遂罪が成立する可能性が十分に考えられます。
今後の手続
14歳の少年であっても、刑事事件を起こせば警察に逮捕される可能性もありますし、逮捕後に勾留される可能性もあります。
逮捕、勾留された場合、その期間中の手続きは成人と同じです。
逮捕後、1~2日程度で検察官に身柄が送致され、その後、裁判官により勾留決定がなされることになるでしょう。
成人事件と手続きが異なるのは、警察や検察官といった捜査機関の捜査を終えて(勾留期間を終えて)からで、勾留期間後は、家庭裁判所に送致されることとなります。
事件の重大性を考慮すると、その後「観護措置決定」がなされ、鑑別所においてAくんの心身や家庭環境が調査されることになると思われます。
事件はどのように終了するか
事件の重大性に照らすと、家庭裁判所から再び検察官のもとへ事件が送致される可能性もあります(「逆送」といいます)。
この場合は成人と同じく刑事裁判にかけられることになる可能性が高いです。
Aくんの更生を重視するならば、家庭裁判所の審判を経て、保護処分を受けることが最善と思われます。
保護処分の中では負担の重い「少年院送致」が言い渡される可能性が十分ありえますが、Aくんの更生を重視した施設である以上、成人と同じく刑罰を受けるよりは、少年の将来を考えると、事態として良いということができるでしょう。
少年事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が殺人未遂事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部にご相談ください。