自転車での人身事故が前科に
- 2020年12月23日
- コラム
自転車事故を起こして前科が付いた事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
自転車事故
野田市内に住む会社員のAさんは、10キロほど離れた職場まで自転車通勤をしています。
先日、残業で遅くなったAさんは、夜道を自転車で帰宅していましたが、自宅近くまで帰ってきたところで歩行者と接触する交通事故を起こしてしまいました。
歩行者は手や足を擦り剥く程度の軽傷でしたが、すぐにAさんは110番通報して警察に事故を届け出ました。
Aさんは、現場に駆け付けた警察官から、無灯火で歩道を走行していたことを注意されたのですが、幸いにも歩行者が軽傷だったことから、警察官からは「とりあえずは物損事故として受理しますが、被害者から診断書が提出されれば、事件になるので、また警察署に呼び出します。」と言われました。
刑事事件化されることを避けたいAさんは、歩行者に治療費等の賠償をすることを約束して事故現場を後にしたのですが、事故から1週間ほどして野田警察署の交通事故係から電話があり「被害者から診断書が出されたので警察署に出頭してください。」と言われてしまいました。
(フィクションです。)
自転車の交通事故
自転車で交通事故を起こしてしまった場合、相手に怪我がなければ物損事故として扱われ刑事罰に問われることはありませんが、相手が怪我をして診断書を警察に提出すると、人身事故となり、刑事事件として扱われてしまいます。
バイクや自動車を運転中に起こした人身事故であれば、過失運転致傷罪の適用を受けますが、自転車を運転中に起こした人身事故の場合は、刑法に規定されている「過失傷害罪」や「重過失傷害罪」が適用されることとなります。
過失傷害罪と重過失傷害罪
「過失傷害罪」と「重過失傷害罪」は、ともに「過失」によって、人に傷害を負わせることで成立する犯罪で、「過失」とは、簡単に言うと「不注意」のことで、注意していれば事故を防げたのに、注意していなかったために事故を起こってしまったと認められた場合に「過失」が認められることになります。
そしてその過失の程度が軽い場合は「過失傷害罪」が適用され、過失の程度が重い場合は「重過失傷害罪」が適用されます。
過失傷害罪と重過失傷害罪の大きな違いは法定刑です。
過失傷害罪の法定刑が「30万円以下の罰金又は科料」であるのに対して、や重過失傷害罪の法定刑は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。
また過失傷害罪は親告罪であるため、被害者等の刑事告訴がなければ控訴を提起することができませんが、重過失傷害罪は親告罪でないので、被害者の刑事告訴がない場合でも刑事罰を受けることがあります。
重過失傷害罪に問われる場合
重過失傷害罪は、過失が大きい、つまり注意義務違反が重大な場合に成立します。
自転車の事故の場合、何らかの交通違反が原因で、事故を起こしてしまうと重過失傷害罪が適用されるケースが多いようです。
今回の事例の場合ですと、Aさんは、歩道を無灯火の自転車で走行していたようです。
「自転車通行可」の標識がある歩道であっても、歩道は、あくまでも歩行者専用の道路ですので、自転車で走行する際にはより一層の注意が必要とされていますし、更に無灯火走行という違反が重なってしまっているので、Aさんが「重過失傷害罪」に問われる可能性は十分に考えられるでしょう。
特に最近は、自転車の性能が向上して重大事故に発展するケースが増えていることや、自転車の悪質な違反が社会問題になっていることから、警察や検察庁は、自転車事故に対して非常に厳しい対応をしているようですので、より厳しい法律が適用される可能性は十分に考えられます。
重過失傷害罪の量刑
Aさんのような、信号無視が原因となる時点の交通事故に「重過失傷害罪」が適用された場合、初犯であれば略式起訴による罰金刑となる可能性が高いでしょう。
罰金刑の最高額は100万円と法定刑で定められていますが、被害者が軽傷であれば「20万円~30万円」の罰金刑が科せられるケースがほとんどのようです。
自転車の交通事故に強い弁護士
最近は自転車保険の加入者が増加しているようですが、保険会社から被害者に支払われる治療費等では、なかなか被害者に納得してもらうことができないので、事故の円満解決を望むのであれば、一度、自転車の交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では、こういった刑事事件を専門に扱っており、これまで多くの被害者と示談を締結してきた実績がございます。
野田市における、自転車の交通事故でお困りの方、重過失傷害罪でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部の無料法律相談をご利用ください。