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一気飲みを強要 適用される法律は? | コラム | 刑事事件の弁護士なら千葉の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所

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一気飲みを強要 適用される法律は?

一気飲みによるアルコール中毒で死亡した事件にどのような法律が適用されるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

大学生が一気飲みで死亡した事件

大学生3年生のAさんは、体育会系の部活に所属しており、卒業期シーズンになると、毎年4年生の追い出しコンパが実施されます。
このコンパでは、卒業する4年生に対して下級生がお酒をついでまわり、一気飲みをさせるのが恒例行事となっていました。
Aさんは、同級生と共にお世話になった一人の4年生に焼酎をロックでついで、一気飲みを強要しました。
最初こそ機嫌よくAさん達のついだ焼酎を一気飲みしていた先輩でしたが、しばらくすると酔払って眠り始めたのです。
酔い潰れたのだと思ったAさん達は、先輩をそのまま寝かして別の4年生にお酒をつぎに行ったのですが、それからしばらくして、別の同級生が、酔い潰れた先輩が呼吸をしていないことに気付きました。
慌てて救急車を呼んで、先輩を病院に搬送したのですが、すでに先輩は死亡しており、その後、死因が急性アルコール中毒であることが発覚しました。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

 

少し前に、お酒の一気飲みをした学生が死亡した事件で、その場に居合わせた学生の一部が過失致死罪で略式起訴された事件がありました。
学生の飲酒による死亡事故では異例ともいえる手続きで、今後、学生の飲酒について改めて考えさせられた事件です。
まだ若い大学生は、アルコールに対する知識が乏しいが故に、このような事件、事故に巻き込まれてしまう危険性が高いと考えられます。
そこで本日は、一気飲みが、どのような犯罪に抵触する可能性があるのかについて解説します。

強要罪

嫌がる人に一気飲みをさせると「強要罪」に該当するおそれがあります。
強要罪が規定されている、刑法第223条第1項には「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した」場合に成立すると明記されています。

強要罪の法定刑は「3年以下の懲役」となっており、罰金刑の規定はありません。また、未遂についても規定があるので、相手が目的の行為をしなかった場合でも罰せられる可能性があります。

傷害罪

強要罪のように脅迫や暴行を伴わない場合でも、アルコールの一気飲みをさせた結果、急性アルコール中毒となってしまったという場合には、「傷害罪」にあたる可能性があります。
会社の飲み会などで上司から部下へ無理やり一気飲みをさせる場合だけでなく、飲まなければならない雰囲気を作った場合でも、傷害罪にあたる可能性があります。

傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。傷害罪と言うと、一般的には、暴行等によって相手に怪我を負わせた場合に成立するイメージが強いですが、精神的苦痛を与えて精神疾患を患わせた場合でも成立する可能性があります。

傷害致死罪・過失致死罪

一気飲みをさせた結果、飲まされた人が死に至った場合には、「傷害致死罪」や「過失致死罪」に該当するおそれがあります。

傷害致死罪とは、一気飲みはさせたが結果的に死亡するとは思わなかった場合に該当します。
法定刑は、「3年以上の有期懲役」です。

また、過失致死罪とは、死亡させる意図がない過失の状態で死亡させてしまったと判断された場合に成立します。
法定刑は、「50万円以下の罰金」です。
先述した、大学生による一気飲み死亡事故では、この過失致死罪が適用されています。

保護責任者遺棄致死罪

保護責任者遺棄致死罪とは、酔い潰れて介抱が必要な者を置き去りにし死亡させた場合の罪です。
保護責任者遺棄致死罪の法定刑は「3年以上20年以下の懲役」です。

 

このようにお酒の一気飲みについては、状況によりさまざまな犯罪が成立する可能性があります。
もっとも被害者が警察に被害を訴えるケースは少ないと思われますが、急性アルコール中毒で被害者が死亡した場合は、警察等の捜査当局は捜査を尽くし、何らかの法律を適用しようとするでしょう。
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千葉支部 支部長 弁護士
上田  孝明

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