懲役刑について
- 2021年7月24日
- コラム
有罪が確定した場合に科される刑事処分の「懲役刑」について、あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
刑事裁判を報道する、新聞やテレビのニュース等で「懲役〇年が求刑されました。」「無期懲役が言い渡されました。」といった、刑事処分の「懲役(ちょうえき)」という言葉を聞いた事があると思います。
懲役刑(ちょうえきけい)とは、刑務所に服役する刑事処分だということをご存知の方は多いかと思いますが、実際どの程度の期間刑務所に服役するのか等詳しいことについてまでご存知ないのではないでしょうか。
そこで本日は、刑事処分の「懲役刑」について、解説します。
刑事罰の種類
日本の刑事手続きでは、有罪が確定すれば何らかの刑事罰が科せられます。
刑事罰は大きく分けて、「罰金刑」「科料」といった、お金を国に納付して経済的制裁を受ける処分と、「懲役刑」「禁錮」「拘留」といった、定められた期間、身体拘束を受けて自由を拘束される処分、そして「死刑」の3つに分類されます。
※「罰金刑」の場合、科せられた金額を国に納付できない場合は、1日以上2年以下の期間で、また「科料」の場合は、1日以上30日以下の期間で労役場に留置されます。
懲役刑
懲役刑とは、刑務所等の刑事施設で身体拘束を受ながら、刑務作業が課せられる刑罰です。大きく、有期懲役刑と無期懲役刑に分類され、有期懲役は1ヶ月から20年までが原則ですが、併合罪などの刑を加重する場合は、30年前までとなり、無期懲役の場合は、その名のとおり期間が定められていません。
併合罪の場合、複数の罪について有期懲役・有期禁錮に処するときは、その中で最も重い罪の刑について定められている刑の長期(刑期の上限)にその2分の1を加えたものを長期とされており、加重の上限は30年です。
しかし言い渡される有期懲役刑の最長が30年というわけではありません。
すでに判決が確定している事件に前後した複数の事件で起訴された場合は、確定判決前と確定判決後の事件でそれぞれ判決が言い渡されることになり、その場合は、それぞれで言い渡された懲役刑が純粋に足し算されることになります。
最近では、強盗・強制性交や強制わいせつ致傷などの罪に問われた男性に対して、検察側が、確定判決の前後でそれぞれ懲役15年と懲役25年を求刑した裁判員裁判がありました。
ちなみに、この裁判員裁判の判決は今月末に言い渡される予定です。
刑務所に服役する期間は
裁判で懲役〇年の有期懲役が確定したり、無期懲役が確定した場合、はたして裁判で言い渡された期間(無期の場合は無期限)、実際に刑務所に服役するのかといえばそうではありません。
~未決勾留期間~
まず起訴されて刑が確定するまでの間で、保釈されずに身体拘束を受けた状態の期間(起訴後の勾留期間)を、未決勾留期間と言いますが、この期間の何日かが、判決で言い渡された懲役期間に算入されることがあります。
この場合、判決時に裁判官から「被告人を懲役〇年に処する。未決勾留期間日数中●日のその刑に算入する。」と主文は言い渡されます。
~仮釈放制度~
当然、刑事裁判で言い渡された期間を満期まで刑務所で過ごせば、刑務所から出所できるのですが、満期まで過ごさなくても出所できる制度があります。
それが仮釈放の制度です。
仮釈放の対象となるのは、有期、無期を問わず懲役刑が確定して刑務所に服役中の受刑者にですが、全ての受刑者に仮釈放が認められるわけではありません。
そこで気になるのが仮釈放が認められる時期と条件です。
まず仮釈放が認められる時期についてですが、法律上(刑法第28条)は、有期懲役刑については、その刑期の3分の1を経過した受刑者、そして無期懲役刑については10年を経過した受刑者となっています。
しかし実際はそこまで早く仮釈放が認められるわけではないようです。
特に無期懲役刑については「刑務所で10年も過ごせば仮釈放が認められる。」といった風説もあるようですが、そこまで早く仮釈放が認められる無期懲役刑で服役している受刑者は「いない」と言っても過言ではありません。
令和元年版犯罪白書によると、仮釈放されている人の約99%が刑期の70%以上を過ぎた受刑者のようで、無期懲役刑の場合は、少なくとも30年以上は服役していなければ仮釈放は認められないようです。
続いて、仮釈放の条件ですが、最低限の条件として
・刑期のうち一定期間が経過している。
・刑務所での受刑態度が良好である。
・自分の犯した罪を十分に反省している。
・再犯のおそれがない。
・本人が仮釈放を望んでいる。
等が挙げられます。
刑事事件に強い弁護士
本日は「懲役刑」について解説いたしましたが、刑務所に服役すればその後の人生が大きく変わってしまいます。
そのため刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、懲役刑を回避する弁護活動を推進しています。
刑事事件にお困りの方は、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部の無料法律相談をご利用ください。