離婚係争中の妻のもとから実子を連れ去り 未成年者誘拐事件に強い弁護士
- 2021年8月8日
- コラム
離婚係争中の妻のもとから実子を連れ去った未成年者誘拐事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説致します。
<千葉県銚子市の未成年者誘拐事件>
会社員Aさんには、別居中で、離婚係争中の妻が養育している小学生の子供がいました。
子どもの親権は未確定で、Aさんは妻と別居し始めてから、子供に会うことが出来ていませんでした。
Aさんは、どうしても子供に会いたくなり、子供が通っている習字教室に行き、「お母さんに頼まれて、今日はお父さんの家で夕飯を食べることになったよ。」と子供に嘘をつき、子供を自宅に連れ帰りました。
子供が行方不明になったと勘違いしたAさんの妻が警察に捜索願を出したことから、Aさんの連れ去りが発覚し、Aさんは、未成年者誘拐罪の疑いで千葉県銚子警察署に逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
「略取罪」と「誘拐罪」
刑法224条において、「未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。」と、未成年者略取罪と誘拐罪が規定されています。
ここでいう、略取や誘拐とは「人をその本来の生活環境から離脱させ、自己または第三者の実力支配下に移すこと」を意味します。
「略取」と「誘拐」は、その手段の違いで、「誘拐罪」は、他人を自己又は第三者の支配下に移す手段が、欺罔や誘惑である場合で、それ以外の手段による場合は「略取罪」となります。
今回の事件の場合、Aさんは、子供に対して「お母さんに頼まれて、今日はお父さんの家で夕飯を食べることになったよ。」と嘘をついて、自分の家に子供を連れ帰っています。
つまりAさんは、欺罔を用いて、子供を本来の生活環境から離脱させて、自己の実力支配下に移しているので、Aさんの行為は未成年者誘拐罪に該当するでしょう。
自分の子供であっても略取罪や誘拐罪は成立する
Aさんが連れ去ったのは、別居しているとはいえ自分の子供で、親権はまだ離婚係争中の妻になるかAさんになるかは分かりません。
そんな場合でも未成年者誘拐罪は成立するのでしょうか?
未成年者誘拐罪は、保護監督権を保護するための法律です。
今回の事件ですと、子供の親権者はまだ定まっていませんが、少なくとも今現在、子供の保護監督権は離婚係争中の妻にあります。
そのことを考慮すると、Aさんの行為は、妻の保護監督権を侵害しているとみなされるので、Aさんの行為は、未成年者誘拐罪に抵触するでしょう。
誘拐の目的により罪名が変わることも
刑法225条には「営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。」と、営利目的等略取及び誘拐罪が規定されています。
例えば、SNSで出会った中学生や高校生に、わいせつな行為をする目的で、ホテル等で長時間一緒に過ごした場合、その行為はわいせつ目的の略取罪や誘拐罪にあたる可能性があります。
ただし、未成年者とのわいせつ行為は、都道府県の青少年保護育成条例や、誘拐罪以外の刑法に違反する可能性もあるため、注意が必要です。
未成年者誘拐事件のご相談に24時間対応しています
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