「釈放」と「保釈」について 保釈には保釈金が必要です。
- 2021年8月23日
- コラム
釈放と保釈、そして保釈金について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
警察に勾留されている方の身体拘束を解くことを一般的に「釈放」と言いますが、厳密に言うと、「釈放」というのは起訴前の被疑者が解放されることを意味し、起訴後の勾留によって身体拘束を受けている被告人が解放されることは「保釈」と言います。
そこで本日は、釈放と保釈、そして保釈によって釈放される際に必要となる保釈金について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
釈放とは
警察に逮捕されて、起訴されるまでの間に身体拘束を受けている方の拘束が解けることを釈放と言います。
勾留が決定するまでであれば、警察や検察など捜査当局が拘束する必要がないと判断すれば、弁護士の活動がなくても釈放されることはありますが、勾留の決定後は、弁護士の活動がなければ、特別な事情がない限り釈放されることはほとんどありません。
保釈とは
身体拘束を受けている被疑者が起訴されると、そのまま起訴後の勾留となり、被疑者は被告人の身分となって引き続き身体拘束を受けます。
起訴後の勾留によって拘束されている被告人の身体拘束を解くことを「保釈」と言いますが、保釈の決定は、弁護人の申立てによって裁判官が判断します。
保釈の請求は弁護士以外でもすることができますが、認められる可能性は低く、法律的な知識が豊富な弁護士に任せた方が保釈が認められる可能性は高くなります。
ただ誰かが請求しない限り、裁判官が自ら積極的に保釈を決定することはまずありません。
保釈の種類
保釈には、「権利保釈」「裁量保釈」「義務保釈」の3種類がありますが、義務保釈で保釈となる被告人はごくごく稀で、ほとんどの保釈は「権利保釈」か「裁量保釈」です。
まず権利保釈とは、刑事訴訟法第89条に規定されており、以下の要件を全て満たす場合裁判官は保釈を認めなければなりません。
①死刑・無期・短期1年以上の懲役・禁錮に当たる事件ではない
②被告人が前に死刑・無期・長期10年を超える懲役・禁錮に当たる罪で有罪の宣告を受けたことがない
③常習として長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した事件ではない
④罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がない
⑤被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者・その親族の身体・財産に害を加え、またはこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由がない
⑥氏名・住居が分かるとき
続いて裁量保釈ですが、裁量保釈は裁判官の裁量で保釈を認めること保釈です。
裁量保釈は、権利保釈のように明確な要件が存在するわけではありませんので、弁護人がいかにして保釈の必要性と相当性を裁判官に訴えるかが、保釈が認められるかどうかに影響します。
裁判官は
①逃亡のおそれがないこと
釈放された被告人に逃亡のおそれがないことを証明しなければなりません。
そのためには、保釈後に住定地があり、監督者が存在することが必要となります。
②罪証隠滅のおそれがないこと
事件の被害品等の証拠品は、起訴された時点で捜査機関の管理下にあるので、証拠品を隠滅することは事実上不可能でしょう。
③保釈を求める理由があること
一般的な保釈を求める理由とは、病気の治療や、仕事に関すること、家族に関すること等だといわれています。
身体拘束を受けることによって被告人が被る、健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益を裁判官に訴える必要があります。
に加えて、事件の内容や、被告人の性格、素行、家族関係、健康状態、拘束期間、裁判の見通し、保釈金の額などの様々な諸事情を考慮し保釈の必要性や相当性を判断します。
保釈にはお金が必要(保釈金)
弁護人の請求によって裁判官が保釈を認めると同時に保釈金が決定します。
つまり、裁判官が保釈を認めても、保釈金を裁判所に納付しなければ身体拘束されている被告人が解放されることはありません。
保釈金は、裁判の円滑な進行と、被告人の身柄を担保するために一時的に裁判所に預けるものなので、刑が言い渡されて刑事手続きが終了すれば返還されます。
釈放や保釈に強い弁護士
警察に逮捕、勾留されている方の釈放や、起訴後の勾留によって拘置所等に身体拘束されている方の保釈を希望しておられる方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では、これまで数多くの被疑者、被告人の方の釈放や保釈を実現した実績がございます。