実況見分と現場検証の違い 千葉市緑区の交通事故
- 2022年3月9日
- コラム
交通事故を起こしてしまった際の実況見分の目的や理由について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説致します。
千葉市緑区の交通事故
Aさんは、千葉市緑区内の国道129号線を自動車で走行中、自転車を運転中のVさんに接触し、Vさんにケガを負わせてしまいました。
Aさんはすぐに警察に事故を起こしたことを報告しました。
その後、交通事故現場に到着した千葉南警察署の署員により、実況見分が行われました。
その後、Aさんは逮捕されず、在宅事件という形で捜査が進められることとなりました。
しかし、今後の事件の見通しについて不安になったAさんは刑事事件と交通事件を扱う法律事務所に相談することにしました。
(フィクションです。)
実況見分とは
実況見分とは、警察などの捜査機関が、犯罪や事故が起きた場所そのものの状況や、被疑者・被害者などの位置関係や状況を明らかにする捜査のひとつです。
死傷者が発生した人身交通事故や住居侵入事件はもちろん、そうでない事件であっても実施されることの多い捜査で、被疑者や被害者などの供述を補強する重要な証拠となる事が多いです。
交通事故の現場では、事故発生当時に当事者立ち会いのもとで実施されることが多く、被疑者や被害者が救急搬送されたケースでは、回復を待って実施されるのが一般的です。
実況見分は任意捜査であるため直接の根拠規定は刑法や刑事訴訟法にはなく、犯罪捜査規範の第104条に記されています。
犯罪捜査規範 第104条 (実況見分)
第1項 犯罪の現場その他の場所、身体又は物について事実発見のため必要があるときは、実況見分を行わなければならない。
第2項 実況見分は、居住者、管理者その他関係者の立会を得て行い、その結果を実況見分調書に正確に記載しておかなければならない。
第3項 実況見分調書には、できる限り、図面及び写真を添付しなければならない。
第4項 前三項の規定により、実況見分調書を作成するに当たつては、写真をはり付けた部分にその説明を付記するなど、分かりやすい実況見分調書となるよう工夫しなければならない。
現場検証とは
実況見分に近い捜査として現場検証と呼ばれるものがあります。報道などでは現場検証と呼ぶのが一般的ですが、法律上の正しい名称は検証です。
交通事故や刑事事件が起きた現場における検証という意味から、現場検証と呼ばれています。
現場検証とは、裁判官が発する令状にもとづいて実施される強制捜査で、目的や内容は実況見分と同じです。
現場検証については、刑事訴訟法について規定されています。
刑事訴訟法第218条 第1項
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。
実況見分と現場検証の違い
現場検証と実況見分の違いは、強制処分(強制捜査)か任意処分(任意捜査)かの違いです。
実況見分は、任意のもとで実施されます。
そのため、実況見分では、裁判官が発する令状が必要ありません。
一方、現場検証は、裁判官が発付した検証許可状にもとづく強制処分です。
逮捕や捜索差押えなどと同じように強制的に実施できるという違いがあります。
実況見分調書は証拠になる
実況見分により作成された実況見分調書は、多くの刑事事件において証拠として扱われます。
つまり、誤った内容の実況見分調書が作成されてしまうと、それが証拠となり、思わぬ厳しい刑罰を受けてしまうおそれがあります。
実況見分では、自分が知っているありのままの状況説明に終始するよう心がけましょう。
実況見分について弁護士に相談する
弁護士に相談し、詳しい状況を説明すれば、なぜ実況見分が実施されるのか、実況見分の目的はどこにあるのかといったポイントが明確になります。
事件や事故の当事者となり、実況見分の立ち会いを求められている場合は、弁護士に相談のうえでアドバイスを求めましょう。
実況見分の対応に不安を感じている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部にご相談ください。
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