家族が逮捕されて勾留~勾留の要件とは~ 2023年5月23日 ピックアップコラム 今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が勾留の要件について事例を用いて解説します。 【事例】 千葉県千葉市在住のAさん(40代男性)が、痴漢の容疑で千葉中央警察署の警察官に逮捕され、同署に勾留されているとの連絡が、Aさんの母親(60代女性)の元にありました。 Aさんの母親は、とにかくAさんがすぐに家に帰って来られるように法律事務所の弁護士に相談しようと考え、翌日、法律事務所に行きました。 ※事例はフィクションです。 【解説】 1 勾留(こうりゅう)とは? 勾留とは、刑事事件の被疑者・被告人の身柄を拘束することを意味します。 勾留は、被疑者だけを対象とする逮捕と異なり、被告人もその対象としています。 被疑者を勾留している場合を被疑者勾留(起訴前勾留)、被告人を勾留している場合を被告人勾留(起訴後勾留)と言います。 今回の事例では被疑者勾留に絞って解説をしていきます。 おなじく「こうりゅう」と読む言葉で「拘留」というものもあります。 「拘留」は既に判決が出ていて、1日以上30日未満の日数を刑事施設に収容される刑罰を指し、今回ご紹介する「勾留」とは異なる点は覚えておいた方が良いかもしれません。 2 勾留の要件 勾留が認められる要件は、被疑者勾留・被告人勾留に共通しており ①勾留の理由 ②勾留の必要性が認められる 場合に勾留が認められます。 ①勾留の理由は大きく分けて2つからなり、 a.被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること b.定まった住居を有していない(住居不定)、逃走の虞がある、罪証隠滅のおそれがある によって勾留の理由を判断します(刑事訴訟法(以下略)60条1項、207条1項、280条)。 ②勾留の必要性とは、勾留の相当性のことを意味し、犯罪の性質や被疑者・被告人の生活環境など様々な事情から、被疑者・被告人を勾留することが相当か(適切か)を判断します。 例えば、被疑者・被告人は住居不定ではあるが、確実な身元引受人がいる場合など具体的事情に照らして、勾留するまでではない事件であると判断された場合には、勾留の相当性=勾留の必要性がないということになります。 3 参考条文紹介 刑事訴訟法 第60条 第1項 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の1にあたるときは、これを勾留することができる。 1 被告人が定まった住居を有しないとき。 2 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。 3 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。 刑事訴訟法 第87条 第1項 勾留の理由又は勾留の必要がなくなったときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以って勾留を取り消さなければならない。 刑事訴訟法 第207条 第1項 前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。 刑事訴訟法 第280条 1項 公訴の提起があった後第1回の公判期日までは、勾留に関する処分は、裁判官がこれを行う。 2項 第199条若しくは第210条の規定により逮捕され、又は現行犯人として逮捕された被疑者でまだ勾留されていないものについて第204条又は第205条の時間の制限内に公訴の提起があった場合には、裁判官は、速やかに、被告事件を告げ、これに関する陳述を聴き、勾留状を発しないときは、直ちにその釈放を命じなければならない。 3項 前2項の裁判官は、その処分に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。 【事務所紹介】 今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が勾留の要件について解説しました。 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件を数多く扱う法律事務所です。 千葉県内及び周辺地域にお住まいの方で、ご家族が警察に逮捕されてしまった方や、刑事事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご連絡ください。 警察から呼び出しを受けている、取調べに呼ばれたなどの在宅捜査の場合であれば、初回無料相談がご利用いただけます。 逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に、弁護士が直接ご本人様と接見(面会)に行く「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。 初回無料相談、初回接見をご利用の方はお電話にてご予約をお取りさせていただきますので、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル0120-631-881までご連絡下さい。