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元交際相手に復縁を迫ったストーカー規制法違反 | 解決事例 | 刑事事件の弁護士なら千葉の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所

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元交際相手に復縁を迫ったストーカー規制法違反

2022年7月7日

  • 罪名ストーカー規制法違反
  • 解決結果不起訴処分
  • ご依頼者ご家族様
  • 都道府県千葉県

事件概要

Aさんは交際していた女性と別れることになったものの、どうしてもその女性のことを忘れることができずにいました。
ある日、どうしてももう一度交際関係に戻りたいという思いから、女性の家を訪れ、玄関先に「好きでした」というメッセージカードを添えた花束を置き、さらに、復縁してもらえるようにメールを何度も送りました。
しかし、女性からの返事はなく、業を煮やしたIさんは、女性に対して「復縁してくれないなら付き合っていた頃の性交渉時の動画をインターネット上にアップする」と記載したメールを送ったのです。
Aさんとしては、女性と復縁したい一心でしたが、後日、逮捕状を携えて自宅を訪れた千葉県成田警察署の警察官によって逮捕されてしまいました。


※守秘義務の関係で一部事実と異なる記載をしています。

事件経過と弁護活動

 交際関係に戻りたい思いで行ったAさんの行為は、どのような犯罪に抵触してしまうのでしょうか。
 まず挙げられるのは「ストーカー規制法違反」です。

・ストーカー行為をしたものは、1年以下の懲役又は100万以下の罰金に処す
(ストーカー規制に関する法律第18条)

 この法律は、「特定の者」に対する恋愛感情や好意の感情が満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足させる目的で「ストーカー行為」を行ってはならないと定めた法律です。
 ※「特定の者」とは、行為者から好意の感情等を抱かれている者を指し、さらに、その者の配偶者や両親、兄弟、直系又は同居の親族など社会生活を行上で密接な関係を有する人も指します。
 今回の被害者は、Aさんの元交際相手ということなので、「恋愛感情」による行動であることは明らかでした。

では、そもそも「ストーカー行為」とは何なのでしょうか。
この法律においての「ストーカー行為」とは、同一の者(≒「特定の者」)に対し、次に挙げる「つきまとい行為」を反復して行うこと(何度も繰り返し行うこと)を言います。

「つきまとい行為」とは
1 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」)の付近において見張りをし、住居棟に押しかけ、又は住居棟の付近をみだりにうろつくこと。
2 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと
3 面会、交際その他義務のないことを行うよう要求すること
4 著しく粗野又は乱暴な言動をすること
5 電話を掛けて何も告げず、又はこれを拒まれたにもかかわらず、連続して電話を掛ける、FAXや電子メールの送信などをすること
6 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させる(≒嫌な気持ちにさせること)ような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
7 その他の名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと
8 性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くことの8項目があります。

このうちどれか特定のことを繰り返すだけではなく、例えば
無言電話(5)→自宅付近を徘徊(1)→面会を要求(3)というように、それぞれの項目を合わせて行った場合でも、繰り返し行った、と判断されます。

 また、罰則についても様々であり、先のストーカー規制に関する法律(第18条)の他にも、
・禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処す
(ストーカー規制に関する法律第19条)

・禁止命令等に違反した者は、6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処す
(ストーカー規制に関する法律第20条)

等があります。
※「禁止命令」とは被害者からの申し出により、警察署長などの名義で「もうこれらの行為をしてはいけません、命令に反した場合には重い罪が課せられる可能性があります」という文書を行為者に交付し、特定の行為をやめるように命じるもの。

 ストーカー規制法は、以前は被害者からの告訴がなければなりませんでしたが、法改正により、告訴が不要となり、また、禁止命令や警告が発せられていなかったとしても犯罪が成立するようになりました。そのため、本人には「つきまといをしている」という自覚がなくても、ある日突然犯人として検挙されてしまうこともありますし、行為内容によっては逮捕され、身柄を拘束されてしまうこともあります。
もちろん、「自覚なく付きまとい行為を繰り返してしまう」ということは大きな問題です。
気持ちと行動のコントロールができないことから、他人に大きな迷惑をかけてしまっているのです。
一部の県警では、ストーカー行為の加害者に対してカウンセリングなどの治療を進める動きもあります。


 また、復縁を迫るために行った行為の内容によっては「強要罪」として立件されてしまう可能性もあります。

・強要罪
 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
(刑法第223条1項)
 
 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した者も、前項と同様に処する。
(刑法第223条2項)

 前二項の罪の未遂は、罰する。
(刑法第223条3項)


 そして、今回のケースでは、Aさんが恋愛感情から復縁を迫り、「性交渉の動画を拡散させる」と脅迫をしたとして、ストーカー規制に関する法律違反、そして、強要未遂罪として逮捕されることになってしまったのです。

ご依頼を受け、当事務所の弁護士がいち早く千葉県成田警察署に留置されているAさんと接見しました。
Aさんは逮捕されたことによって、自身の犯した罪の大きさを悟った様子で、また、今後の自身の将来についてひどく不安を覚えている様子でした。
当所の弁護士が今後の取調べに対するアドバイスや事件の見通しをご説明したところ、被害者の方にも謝罪したいとのご意向でした。また、定職についていたからだっため、突然の逮捕によって無断欠勤が続いた場合、失職をしてしまう恐れがありました。

そこで、被害者の方に対し、Aさんの謝罪をお伝えして示談交渉に着手する事、同時に早期の釈放を目指すことに注力しました。
まずは検察官、裁判所に対して釈放に向けた意見の申し入れを行いました。
検察官は「ストーカー事案であるからIさんが再度被害者に接触する可能性が高い、釈放するべきではない」として強く反対をしましたが、最終的に裁判所は弁護人の意見を聞き入れ、Aさんは釈放されました。
ストーカー事案では検察官の意見のように、ほとんどの事案で逮捕、勾留がなされるのですが、Aさんの事案では逮捕から72時間以内での釈放という結果が得られました。

また、示談交渉においては被害者の心情に最大限注意を払いながら交渉を行いました。ストーカー事案は被害者の心理的な負担が大きく、その負担から被疑者(犯人)に対し、強い憤りを抱いていることが多いのです。
そのため、被害者様の心情に配意しつつ、謝罪をお伝えし、粘り強く示談交渉を行っていくことが重要になります。
本件でも弁護士がいち早く被害者様に対して、誠心誠意、謝罪の気持ちをお伝えし交渉したところ、受け入れて頂き、無事に示談書を締結することが出来たのです。
さらに、処罰感情を取り除くことにも成功したため、Aさんは不起訴処分となり、ようやく今まで通りの日常を取り戻すことが出来たのです。

解決のポイント

今回のケースに限らず、ご自身や大切なご家族が、何らかの罪に問われてしまった場合、出来るだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

 特に、本件のように被害者が存在する事案であれば、刑事事件に精通した当社の弁護士がいち早く対応することで、示談を締結することができる場合もございます。
 
さらに、弁護士に相談することにより、処分の見通しや今後の手続きの流れについて早い段階で聞くことができ、その後の手続きに落ち着いて対応することができます。
また、取調べの対応方法や供述内容に対するアドバイスを受けることで、誤解を招くような供述を避けることが出来ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は日頃より刑事事件を数多く受任し、扱ってきた実績がございますので、どのような事件でも安心してご相談頂けます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は千葉県内のみならず、全国各地に事務所があり、初回無料法律相談も行っておりますので、お困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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千葉支部 支部長 弁護士
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