【コラム】お酒の席でのアレが犯罪に?~一気飲みの強要と傷害罪~
- 2023年4月15日
- その他の刑法犯事件
送別会や歓迎会,忘年会などのシーズンになると羽目を外しすぎてトラブルを起こしてしまうこともあるかもしれません。
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が、お酒の席で人に無理やり一気飲みなどをさせる,無理やり飲酒を強要した場合に成立するおそれのある犯罪について解説致します。
【事例】
千葉県船橋市のJR西船橋駅付近の居酒屋にてAさんは勤めている会社の新入社員の歓迎会をしていました。
新入社員のVさんは、お酒が弱かったのであまり飲まずにいましたが、AさんはVさんが酔い潰れるのを面白半分で見たくなり、「Vビビってんな?」、「Vも飲め飲め!」、「イッキ!イッキ!」と生ビールの入ったジョッキをVさんの口に運び、無理やり一気飲みをさせました。
Vさんは、一気飲みをした数分後、容態が急変して急性アルコール中毒に陥り意識を失い倒れ込みました。
その場に居合わせた他の客が、突然倒れ込んだVさんを見てパニックになり、110番通報をし、船橋警察署の警察官が現場に臨場しました。
警察官はVさんの容態を見て即座に急性アルコール中毒に陥っているとわかり、救急隊員を呼んでVさんを病院に搬送してもらいました。
幸なことにVさんは,搬送先の病院で治療してもらい命に別状はありませんでした。
しかし,Aさんは数日後、船橋警察署で一連の事件の内容の取り調べを受けることとなりました。
そこで初めてAさんは、無理やり一気飲みさせたことが問題になるのではと不安に思い、取り調べを受ける前に、法律事務所で相談をすることにしました。
※事例はフィクションです
【解説】
今回の事例のように、死亡には至らなかったけれど無理やりお酒を一気飲みさせた相手が急性アルコール中毒などの不調に陥った場合には、傷害罪に問われる可能性があります。
そこで以下では、傷害罪の成立要件などについて解説をしていきます。
1.傷害罪の根拠条文
傷害罪は刑法204条に規定されています。
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2.傷害罪の成立要件
刑法204条の条文の文言から傷害罪の成立要件は以下のようなものになります。
①「人の身体を」
②「傷害した」
「傷害」とは、人の生理的機能に障害を加える行為を意味します。
傷害とは、通常、殴る、蹴るなどの有形の暴行によって行われますが、人の生理的機能に障害を加える行為であれば無形の行為でも「傷害」として認められます。
つまり喧嘩などで、相手を殴って外傷を負わせたなど以外でも傷害罪は成立します。
今回の事例では、Vさんは急性アルコール中毒に陥り意識を失っているので、生理的機能に障害が起きたといえます。
3.傷害罪の法定刑
・1ヶ月以上15年以下の懲役
・1万円以上50万円以下の罰金
また,たとえ刑事処分を受けなかったとしても,飲酒を強要されたことや急性アルコール中毒になるまで追い込まれたことから,慰謝料や治療費の請求などの民事訴訟に発展したり,会社での立場などに影響がある可能性もあります。
※なお,弊社では刑事事件についてのご相談に注力している関係上,賠償請求や会社内での処分に関するもののみのご相談はお取り扱いすることが出来ません。
【事務所紹介】
今回は、嫌がっている人に無理やり一気飲みなどを行わせて体調を不良させることでも、成立する危険のある傷害罪について解説致しました。
今回は割愛しませんでしたが,飲酒の強要などは強要罪に問われる場合もあり,急性アルコール中毒など身体に危険を及ぼすおそれがある他,過度な飲酒はトラブルに巻き込まれる場合がありますので注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害罪の事件の経験も豊富な弁護士が所属しています。
千葉県船橋市周辺に在住の方で、傷害事件の被疑者として警察の取り調べを控えているという方は、ぜひ一度,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご相談ください。
また、ご家族が逮捕されてしまったなどの場合には、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」(有料)もご提供しています。
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