【コラム】児童虐待防止法とは?
- 2023年3月26日
- その他の刑法犯事件
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が児童虐待について解説致します。
【事例】
千葉県鎌ヶ谷市に在住のAさん(30代男性)は、息子のVくん(4歳)が食べ物を溢してしまったりするたびに、Vくんの服を掴みながら「なんでこんなことも出来ないんだ?」と怒鳴ったり、Vを突き飛ばしたりしていました。
ある日、家のまえでAさんに怒鳴られたり、殴られたりしていたVくんの姿と異常な泣き声を心配した近隣住民が鎌ヶ谷警察署に通報しました。
翌日、Aさんは鎌ヶ谷警察署の警察官に虐待の疑いで逮捕されました。
※事例はフィクションです。
【解説】
1 児童虐待防止法とは?
児童虐待に関係する法律として、「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法(以下、法令名省略))」があります。
児童虐待防止法は、児童虐待が児童(18歳に満たない者)の人権を著しく侵害し、その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼすことにかんがみ、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の予防及び早期発見その他の児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援のための措置等を定めることにより、児童虐待の防止等に関する施策を促進し、もって児童の権利利益の擁護に資することを目的とする法律です(1条)。
2 児童虐待禁止の根拠
児童虐待の禁止は以下のように規定されています。
第3条(児童に対する虐待の禁止)
何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。
3 児童虐待の定義とは?
児童虐待の定義は以下のように規定されています。
第2条 (児童虐待の定義)
この法律において、「児童虐待」とは、保護者(省略)がその監護する児童(省略)について行う次に掲げる行為をいう。
1号 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
2号 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
3号 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
4号 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(省略)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
3 児童虐待防止法の法定刑は?
今回の事例では、AさんのVに対する突き飛ばしや蹴るという行為はVが怪我をしかねない暴行に該当し、児童虐待防止法で禁止されています(2条1号、3条)。
しかし、児童虐待防止法で禁止されている児童虐待に違反しても罰則はありません。
(※接触禁止命令に背き、児童に接触しようとした場合には罰則があります。)
児童への虐待行為自体は、刑法で定められた個別の罪名によって処罰されることが多いです。
以下のような罪名は、児童虐待の際に適用される刑法の一例になります。
・怪我はないが児童に殴る・蹴るなどの暴力行為を加えた場合
→暴行罪(刑法208条)が成立し、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料。
・暴力行為によって児童が怪我をした場合
→傷害罪(刑法204条)が成立し、15年以下の懲役または50万円以下の罰金。
・児童を外に放置・遺棄などした場合
→保護責任者遺棄等罪(刑法218条)が成立し、3か月以上5年以下の懲役。
【事務所紹介】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が児童虐待について解説致しました。
児童虐待の事件の場合、加害者と被害者が同じ家に住んでおり、証拠隠滅や再犯の恐れが高いので逮捕・勾留されやすい、釈放を求めるために事件解決までは被害者と接触しない等の特徴があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
千葉県鎌ヶ谷市周辺に在住の方で、ご家族が児童虐待の容疑で逮捕されているなどの場合には、逮捕された方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービス(有料)をご用意しておりますので、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご連絡ください。
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