【コラム】取調べにおける黙秘権とは?
- 2023年4月2日
- その他の刑法犯事件
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が,警察からの取調べに対して黙秘権を行使することの効果について解説します。
【事例】
千葉県茂原市在住のAさん(30代男性)は、市内で発生した強盗事件の被疑者の疑いで、茂原警察署において取調べを受けていました。
Aさんは、事実強盗に関与していましたが、取調べ中の警察官の質問には一切答えず、黙秘を貫きました。
※事例はフィクションです。
【解説】
1 そもそも黙秘権とは?
黙秘権とは、被告人や被疑者、参考人などが取調べなどにおいて、自己に不利益な供述を強要されない権利のことを言います。
その根拠は、刑法ではなく憲法38条1項に規定されています。
憲法第38条1項
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
そのため、警察官や検察官などからの取調べにおいて、言いたくないことや話したくないことを、自分自身の意思に反して答える必要まではありません。
また、刑事ドラマなどで目にする、「自白をさせるために取調官が机を叩く,蹴る」や「大声で恫喝する」「被疑者に対し暴行を加える」などは、現在では全て禁止されている行為であり、そういった行為に怯えて供述した内容には証拠的な価値が認められないことがあります。
2 黙秘するのにもデメリットが・・・
結論としては、黙秘権を行使することがデメリットとなる場合が存在します。
前提として、被疑者・被告人には、黙秘権が保障されている以上、「黙秘しているということ」を有罪の証拠とされることはありません。
これを、不利益推認の禁止と言います。
しかし、罪が確定した際に、結果的に犯人だった人間が「黙秘している」、「黙秘していた」という事実を、「罪から逃れようとしたのだろう」、「反省していないのだろう」、と評価することは禁止されていません。
たとえば、たとえ取調べに対して黙秘を貫いたとしても、捜査機関により、現場の防犯カメラに犯行状況の一部始終が記録が発見されたり、携帯電話の解析から犯行を計画していることが明らかとなったり、GPSなどの情報からその場所にいることが明白であったりなど、客観的な証拠が多数明らかとなった場合などは取調べに対して黙秘をしていたから安全とは言いきれません。
こうした場合は最終的に、「反省していない」「再び犯行を繰り返すおそれがある」などと捉えられ、より刑罰が重くなってしまうことも考えられます。
そのため、必ずしも黙秘権を行使することがメリットとなるとは限らないのです。
3 結論、黙秘権は行使するべき?
以上のように、取調べなどの際に黙秘権を行使することは必ずしもプラスになるわけではありません。
そこで、取調べなどを受ける際には、法律の専門家である弁護士に相談して、事件の中の「黙秘をした方が良い部分」、「黙秘しない方が良い部分」をしっかりと把握して取調べに臨むことが重要でしょう。
【事務所紹介】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が警察からの取調べに黙秘権を行使することの効果について解説致しました。
刑事事件の取調べは、法律家のアドバイスを受けて備えておくことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
千葉県内に在住の方で、刑事事件を起こして取調べを受ける方、ご家族が警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご連絡ください。
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