ピンポンダッシュで刑事事件?~迷惑防止条例違反
- 2020年5月31日
- コラム
ピンポンダッシュで刑事事件に発展したケースで、特に迷惑防止条例違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
~事例~
千葉県市川市に住んでいるAさんは、近所に住んでいるVさんのことを長年気に食わないと思っていました。
Aさんは、Vさんに嫌がらせをするため、Vさん宅にピンポンダッシュを繰り返すようになりました。
Vさんは、玄関先にピンポンダッシュをしないように求める貼り紙をするなどしましたが効果はなく、Aさんによるピンポンダッシュが続いたため、千葉県行徳警察署に相談。
すると後日、Aさんのもとに千葉県行徳警察署の警察官が訪れ、「迷惑防止条例違反の件で話を聞きたい」と言われました。
Aさんは、思い当たる節がないと不思議に思っていましたが、話を聞くとVさんへのピンポンダッシュの件であることが分かりました。
ピンポンダッシュで警察沙汰になるとは思っていなかったAさんは驚き、取調べに出頭する前に弁護士に今後の手続きを相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・ピンポンダッシュは迷惑防止条例違反になる?
ピンポンダッシュとは、呼び鈴などを鳴らしてその場から逃げる行為を指します。
ピンポンダッシュは呼び鈴を鳴らしたのにその場から鳴らした人が逃げてしまうため、鳴らされた人としては客人が来たと思って対応をするのに客人がいないという状態になっていしまいます。
ピンポンダッシュはそのようにして相手に迷惑をかける行為であることから、いたずらや嫌がらせで行われることが多いでしょう。
このピンポンダッシュは、実は犯罪にあたる行為です。
千葉県の迷惑防止条例では、以下のような条文があります。
千葉県迷惑防止条例第12条
何人も、呼鈴等を利用して、みだりに訪問者を装つて、呼出しをする等の悪戯で、著しく不安又は迷惑を覚えさせるような行為をしてはならない。
先ほど触れたように、ピンポンダッシュは呼び鈴を鳴らすことで客人を装って相手を呼び出し、しかし本人はその場から逃げてしまう行為です。
ですから、ピンポンダッシュは「呼鈴等を利用して、みだりに訪問者を装つて、呼出しをする等の悪戯」といえます。
さらに、ピンポンダッシュをされた側とすれば当然迷惑な行為であり不安に思う行為ですから、「著しく不安又は迷惑を覚えさせるような行為」ともいえるでしょう。
そのため、ピンポンダッシュは千葉県迷惑防止条例のこの条文に違反する=千葉県迷惑防止条例違反という犯罪行為といえるのです。
ピンポンダッシュでこの千葉県迷惑防止条例違反となった場合、「5万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」となります(千葉県迷惑防止条例第17条第1項)。
そして、常習であると判断された場合には、さらに重い「6月以下の懲役又は20万円以下の罰金」となります(千葉県迷惑防止条例第17条第2項)。
また、ピンポンダッシュを同じ家・人に繰り返しているような場合には、「押しかけ行為」であると判断され、千葉県迷惑防止条例の以下の条文に違反すると判断される可能性もあります。
千葉県迷惑防止条例第11条
何人も、みだりに、特定の者に対し、著しく不安又は迷惑を覚えさせるような方法で、執ように、次の各号に掲げる行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第1項に規定するつきまとい等を除く。)をしてはならない。
第1号 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ち塞がり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。
この「押しかけ行為」と判断されて千葉県迷惑防止条例違反となった場合には、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります(千葉県迷惑防止条例第13条第1項)。
こちらも先ほど同様、常習として行っていたと判断された場合には、より重い「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(千葉県迷惑防止条例第13条第2項)。
このように、ピンポンダッシュのような単なるいたずらに思える行為でも、犯罪となり刑事事件となる可能性があります。
刑事事件は決して他人事ではなく、日常のすぐ近くにあるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では、こうした身近な刑事事件のご相談も受け付けています。
初回無料法律相談だからこそ、どなたでもお気軽にご相談いただけます。
千葉県の刑事事件にお困りの際は、まずは遠慮なくお問い合わせください。