他人のアカウント情報で不正にログイン~不正アクセス禁止法違反とは?~【前編】
- 2023年1月17日
- その他の刑法犯事件
興味本位のつもりで他人のSNSアカウントなどに権限なくログインする行為は、犯罪になる可能性があります。
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が不正アクセス行為の禁止等に関する法律(以下「不正アクセス禁止法」)について前編と後編に分けて解説致します。
前編では、不正アクセス禁止法の目的、不正アクセス行為の定義・罰則について解説致します。
【事例】
Aさん(33歳男性)は、千葉県鎌ヶ谷市にあるV株式会社に勤務していましたが、別の会社に転職をしました。
Aさんは、過去にシステム業務を担当した際に把握したIDとパスワードを使い、V株式会社の人事データに権限なくアクセスし、転職後も交流のあった元同僚社員の人事情報を興味本位で見ていました。
V株式会社のIT担当者が、ログの定期確認をする中で、退職後のAさんによる不正アクセスが発覚しました。
V株式会社は管轄の千葉県鎌ヶ谷警察署に、Aさんの不正アクセスについての被害届を提出しました。
Aさんは、V株式会社から被害届を提出されたこと伝えられ、数日後には千葉県鎌ヶ谷警察署の警察官からも出頭要請の連絡を受けました。
Aさんは自分の行為がここまで大ごとになるとは考えていなかったため、大慌てで今後の対応について法律事務所に相談に行くことにしました。
※事例はフィクションです。
【解説】
1 不正アクセス禁止法の目的
不正アクセス禁止法は、不正アクセス行為や不正アクセス行為につながる行為を禁止・制限することによりインターネット社会の秩序維持と健全な発展に寄与することを目的とした法律です(法1条参考)。
2 不正アクセス行為禁止の根拠条文
不正アクセス行為禁止の根拠は不正アクセス禁止法3条により規定されています。
不正アクセス禁止法3条 (不正アクセス行為の禁止)
何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
3 不正アクセス行為とは?
次に、不正アクセス行為とはどのような行為なのかは、不正アクセス禁止法の2条4項各号に以下のように定義されています。
第2条 (定義)
1項~3項略
4項 この法律において「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
1号 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(略)
2号 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(略)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(略)
3号 電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為
いきなり不正アクセス禁止法の2条4項1〜3号を読んでみてもイマイチ定義がわからないかと思いますが、1号〜3号の行為を簡単に表すと以下のような2つの行為が不正アクセス行為であると定義しています。
①他人のID・パスワードを入力した不正なログイン行為(1号)
②コンピュータープログラムの不備をついて権限なくアクセスする行為(2・3号)
※①、②のどちらの行為もアクセス管理者が行う場合やアクセス管理者又は利用権者の承諾を得て行う場合には正当な利用行為として禁止の対象から除外されています。
4 不正アクセス行為の法定刑
不正アクセス行為の違反には不正アクセス禁止法11条により以下の法定刑が規定されています。
1ヶ月以上3年以下の懲役若しくは1万円以上100万円以下の罰金
【事務所紹介】
今回は、不正アクセス禁止法という法律の目的や不正アクセス行為の定義・罰則について解説致しました。
次回は、不正アクセス禁止法に規定されている他の禁止行為と罰則について解説致します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件を数多く取り扱う法律事務所です。
千葉県鎌ヶ谷市周辺に在住の方や、そのほかの地域にお住まいの方でも、不正アクセス禁止法に違反し警察の取調べを控えているという方、何らかの罪に問われ警察から呼び出しを受けているといった方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご相談ください。
不正アクセスのような、インターネット上での犯罪は被害者の住所地を管轄する警察署が捜査を開始する場合がほとんどであり、被疑者は遠方の警察署から捜査を受けることがありますが、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は全国(北海道、宮城県、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、愛知県(本部)、大阪府、京都府、兵庫県、福岡県)に複数の支部があり、支部間の横の繋がりも充実した刑事事件を扱う法律事務所です。
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