任意の取調べ~帰っても大丈夫?~
- 2022年10月30日
- コラム
警察などの捜査機関からの要請で、警察署に出頭し、取調べを受けた場合、途中で帰ることなどができるのでしょうか?
そこで、今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が、「取調べの退出が許されるのか?」について解説致します。
【事例】
千葉県柏市在住のAさん(女性51歳)は、自宅近所のスーパーで商品数点(計2,000円相当)を万引きしました。
スーパーの店長Vさんは、最近商品在庫のデータと実際の商品在庫の数が合わないことが多いことから、万引きをされていると考え、防犯カメラを確認しました。
防犯カメラの録画を確認したところ、画像が悪く確信はできないが、Aさんが万引きをしていると疑われる映像が確認できたので、店長Vさんは柏警察署に被害届を提出し、店舗の防犯カメラを提供しました。
柏警察署は、Aさんに出頭を要請し、Aさんは、数日後に柏警察署に出頭し、取調べを受けました。
Aさんは、長時間の取調べに疲労を感じ始めたので、取調べの途中でしたが、一旦家に帰ることにしました。
※事例はフィクションです。
【解説】
取調べの途中で退出し、帰ることができるかは、取調べに受任する義務の有無が問題となってきます。
この答えは、刑事訴訟法(以下法令名省略)198条1項但書に規定されています。
刑事訴訟法198条1項 (被疑者の出頭要請・取調べ)
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。
但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
上記、198条1項但書の「逮捕又は勾留されている場合を除いては」との規定を反対に解釈すると、逮捕や勾留などに至っていない(身体拘束を受けていない)場合には、任意取調べであるため、被疑者は、いつでも取調室を退出することができます。
つまり、取調べを受任する義務はないため、取調べの途中でも家に帰ることが許されます。
そうは言っても、捜査機関が実質的に、帰宅することを許さない対応で取調べをすることも考えられます。
しかし、このような取調べは違法な捜査となるので、違法な取調べで得た供述は証拠とはされません。
ただし、何らかの犯罪を犯したことが警察などの捜査機関の捜査によって明らかになっている場合や、犯人(≒被疑者)と特定するに足りる証拠がある場合は,出頭要請や同行を拒否し続けたり、取調べ室から立ち去ろうとしたことが、「逃走するかもしれない,罪証隠滅(証拠を処分すること)をするかもしれない」と捉えられ、身柄が拘束される可能性もある,ということは覚えておいた方が良いかもしれません。
【まとめ】
今回は、取調べの途中帰宅(取調べ受忍義務の有無)が許されるのかを解説致しました。
結論としては、原則、途中で家に帰ることが認められているということを解説致しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
千葉県柏市でAさんのように、万引きで取調べを受ける、逮捕・勾留されてしまうかもしれないという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部にご連絡ください。
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