児童買春と略式起訴
- 2020年6月21日
- コラム
児童買春と略式起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
【ケース】
Aさんは、SNS上で買春を希望する女性を探しては,女性と会って数万円で性行為を行っていました。
ある日,女性の中に高校3年生を称する者がいたことから,興味本位で連絡して会う約束をとりつけました。
当日,待ち合わせ場所に現れた女性Vさんは,見た目からして15歳か16歳程度に思えした。
ですが,Aさんは「最悪18歳でなくとも構わない」と思い,Vさんと3万円で性行為に及びました。
後日、Vさんが補導されたことでAさんの児童買春の事実が発覚し,Aさんは児童買春の疑いで鴨川警察署にて取調べを受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は,略式起訴の可能性が高いと考えました。
(フィクションです。)
【児童買春について】
児童買春とは,簡単に言うと「お金などの財産を対価として,18歳未満の者と性的な行為に及ぶこと」を指します。
日本においては,「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」によって具体的な定義や罰則が定められています。
まず、処罰の対象となる「児童買春」とは、以下の要件の全てを満たすものを言います。
①次のいずれかの者に対して、性交等の対償を供与し、またはその約束をしたこと
・児童(18歳未満の者)
・児童に対する性交等を周旋する者
・児童の保護者または児童をその支配下に置いている者
②児童に対して以下の行為(「性交等」)を行ったこと
・通常の性交
・口腔性交(フェラチオ)や肛門性交(アナルセックス)といった性交類似行為
・児童の「性器等」(性器,肛門,乳首)を触ること
・自己の「性器等」を児童に触らせること
※ただし,性器等を触ったり触らせたりする行為については,「自己の性的好奇心を満たす目的」でやったこと
上記①②の両方を満たす場合,児童買春として5年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
【略式起訴のメリットとデメリット】
児童買春のケースで比較的少額の罰金刑が科される場合,略式起訴という特殊な手続によることが見込まれます。
略式起訴とは,通常の裁判よりも簡易な手続で事件の審理と判決を行うための起訴の形式です。
検察官により略式起訴がなされると,裁判官が略式起訴によるべきでないと考える場合を除き,書面上で事件の審理が行われることになります。
そして,審理の結果,略式命令という判決に代わるものが被告人に送達されます。
以上のとおり,わざわざ事件関係者や傍聴人などがいる法廷に裁判を受ける必要がない点において,心身共に負担が軽減されると言えます。
略式起訴は心身の負担が少ない点がメリットである一方,事件の審理が通常の裁判より簡素なものになってしまうというデメリットがあります。
特に争いのない事件であればさほど問題ありませんが,争いがある事件であればやはり正式な手続に則った裁判を受けたいものです。
こうした実情を考慮し,検察官が略式起訴をするためには被疑者(のちの被告人)の同意を得る必要があると共に,被告人は一定期間内であれば通常の裁判を要求できるようになっています。
ご自身にとって有利な手続を選択するために,略式起訴に関するお困りごとはぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、略式起訴に関する様々なお悩みの解決に尽力します。
児童買春を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。