重過失傷害罪で示談
- 2020年6月6日
- コラム
重過失傷害罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
【ケース】
Xさんは、千葉県千葉市内を自転車で走行中、前方を歩いていたYさんに接触してしまいました。Yさんは、倒れ、周囲にいた人たちが救急車を呼びました。
Xさんは、久しぶりに行く友人宅をスマートフォンの地図マップで調べながら自転車を走行しており、ぶつかるまでYさんの存在に気づいていませんでした。
Yさんは幸いにも一命をとりとめましたが、転倒の衝撃で足を骨折してしまっていました。Xさんは、後日、千葉県千葉中央警察署の警察官からの取り調べを受け、重過失傷害の罪で被疑者として手続きが進められることとなりました。
(フィクションです。)
【重過失傷害罪について】
刑法第二百十一条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
自転車で走行中、不注意によって他人を傷害してしまい、なおかつその不注意の程度が著しかった場合、重過失傷害罪が成立する可能性があります。(自転車の走行の場合には、業務上過失致傷罪の成立は認められないと考えられるケースが多いです)。
上記引用条文の後段部分が重過失傷害(致死傷)罪の規定に当たり、仕事などの業務時に起こる業務上過失傷害罪と同様の重さとなっています。
重過失致死傷罪における「重大な過失」とは、法的には、通常の判断能力などを有する一般人を基準として、少し注意を払うだけで簡単に結果の発生を回避できた場合を指します。
要するに、一般の人が通常払っているごく当たり前の注意さえ払っていないケースの場合には、「重大な過失」があるとされる可能性があります。
上記事例においては、Xさんがスマートフォンに気を取られ、Yさんの存在に気づかなかったことが事故の原因となっています。
このような事故は、Xさんがスマートフォンをいじることなく、周囲に気を配って通常に走行していれば容易に防げたと考えられる可能性があり、それを怠ったXさんに「重大な過失」があると評価される可能性があります。、
仮に、重過失致傷罪が成立するとすれば、Xさんには、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
刑罰は、こうした幅の中で課されるものですが、では、いかなる場合に重い刑が科されるのかというと、過失の程度と結果の重大性との相関関係が最も重要な要素といえます。
結果が傷害であれば比較的軽い刑で済むと考えられますが、過失が特に著しかったり、後遺症が残るほど重い結果が生じたりした場合は、必然的に刑は重くなるでしょう。
また、具体的な事案によっては、重過失と言えるかどうかが裁判で激しく争われることもあります。
【示談交渉を円滑に進めるには】
不注意の結果相手方に骨折という結果をもたらしてしまっている以上、適切な被害弁償は必要です。
たとえば、自転車事故を起こした場合など類似のケースで、当事者同士のみで示談交渉に及ぼうとするケースはよくあります。
当事者同士の交渉でうまくいくケースももちろんありますが、示談交渉の結果をうまく捜査機関に伝達できないと、せっかく被害弁償をしたのに刑事手続上反映されなかったということになる危険もあります。
また、自転車事故のケースでは、自動車事故の場合と同様に、事故から一定期間が経過した後になって、体に痛みが生じてくる場合もあります。
被害者としてはその分の治療費も請求したいと考えるのが通常であり、その点に関してきちんと合意しておかないと、後から何度も追加で金銭を請求されるおそれがあります。
以上の点から、たとえ当事者間で示談交渉が可能だと思っても、事故を起こしたらひとまず弁護士に相談してみることをおすすめします。
少しアドバイスを受けるだけでも、結果の良し悪しや安心感などは違ってくるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、豊富な示談の経験を武器に、あなたに代わって最適な示談交渉を行います。
もし自転車事故を起こすなどして重過失傷害罪を疑われたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所(0120-631-881)にお電話ください。
刑事事件・少年事件専門の法律事務所として真摯にご相談をお聞きし、具体的な事案に合わせて的確なアドバイスを致します。