千葉県野田市で連続不審火 ごみ集積場に放火
- 2021年8月16日
- コラム
千葉県野田市の放火事件を例に、ごみ集積場のごみに放火した場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説致します。
<千葉県野田市の放火事件>
大学院生Aさんは、ごみ集積場のごみに火を点けることで、日頃のストレス発散していました。
ある日の深夜、Aさんは、千葉県野田市内の住宅街にあるごみ集積場のごみに、火を放ちました。
Aさんは火が点いたことを確認したのち、逃走しました。
その後、火は1mの高さまで燃え上がりましたが、異変に気付いた近隣住民が、ただちに消火活動したことで、集積所内のごみだけが燃え、周辺家屋への延焼はなく、けが人もいませんでした。
近隣住民はこのことを警察に通報し、千葉県野田警察署による捜査の結果、Aさんは、建造物等以外放火罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです。)
<放火罪とは>
放火罪は、不特定または多数の人の生命や身体、財産に危険を生じさせることに対する罪です。
刑法では、放火した対象物によって、適用される条文が変わります。
例えば、犯人以外の人がいる住居や建造物に放火した場合は、「現住建造物等放火罪」にあたり、死刑または無期もしくは5年以上の懲役で処罰される可能性があります。
これは、殺人罪と全く同じ法定刑であり、非常に重い処罰が下される可能性のある犯罪であるといえるでしょう。
ここでいう「建造物」とは、例えば会社や学校など人がいる建築物はもちろん、物置小屋のような雨風をしのげるようなものまで含まれます。
上記した野田市の放火事件では、放火した対象物が、人のいないごみ集積場のごみであったため、この場合は「建造物等以外放火罪」にて処罰されるでしょう。
<建造物等以外放火罪>
刑法第110条第1項において、放火をして、建造物等以外の物を「焼損」し、「公共の危険」を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処すると、自己所有の物以外に放火した場合の、建造物等以外放火罪が規定されています。
ここでいう「焼損」とは、犯人が点けた火が、媒介物を離れて、独立に燃焼を継続する状態とされています。
上記した野田市の放火事件のように、ごみに火を点け終えた後、そのままごみが燃え続けてる状態は、焼損にあたると考えられます。
また「公共の危険」とは、住居や建造物への延焼の危険や、周囲にいる人の生命や身体、財産に対する危険などが含まれます。
上記の野田市の放火事件例では、住宅街にあるごみ集積場にて、火の高さが1mまで燃え上がり、周辺住居への延焼の危険等が考えられるため、公共の危険を生じさせていると考えられるでしょう。
建造物等以外放火罪は、公共の危険が生じなかった場合は成立せず、その場合は、器物損壊罪が成立するにとどまります。
ちなみに刑法第110条第2項では、自己所有の物に放火した場合の、建造物等以外放火罪が規定されています。
この場合の法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」となっています。
<放火事件に強い弁護士>
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
ご自身が放火事件を起こし、警察から取り調べを受けている場合や、ご家族が逮捕されてしまった場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部の無料相談もしくは初回接見サービスをご利用下さい。
放火事件のご相談は、フリーダイヤル0120-631-881にて24時間承っておりますので、お気軽にご連絡下さい。