自動車窃盗の新たな手口 CANインベーダー
- 2021年10月28日
- コラム
自動車窃盗の新たな手口であるCANインベーダーについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説致します。
千葉市稲毛区の自動車窃盗
Aさんは、自動車窃盗の犯行グループの一員でした。
Aさんのグループは、CANインベーダーという手口で、千葉市稲毛区内に停車されていた高級車を狙って自動車窃盗を繰り返しました。
しかし、防犯カメラの映像や自動車に取り付けられたGPS装置の情報などから、自動車窃盗がAさんらの犯行であると発覚しました。
千葉県千葉西警察署の捜査の結果、Aさんは窃盗罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです。)
新たな自動車盗の手口 CANインベーダー
CANとは Controller Area Network を意味する自動車の電子制御システム向けの通信プロトコルです。
これは、クルマの内部にある電子回路や、電気系の装置を接続するための通信規格の一つです。
CANによって、自動車内部の電子制御装置やエンジン、各種センサーなどの部品が一つの伝送路で共有されています。
そして、この電子回路に侵入するのがCANインベーダーです。
自動車内部の伝送路に侵入(invade)することでドアロックなどを解除し、エンジンを始動させることができます。
これを手口とした自動車窃盗が、昨年の終わり頃から急増しているようです。
CANインベーダーにリレーアタックの対策は効かない
CANインベーダーによる自動車窃盗はリレーアタックに代わって2017~2018年頃から徐々に増え始め、昨年の終わりころから急増し始めているようです。
CANインベーダーはリレーアタックと異なり、車とスマートキーの距離条件や、車からの電波発信の必要はありません。
CANインベーダーは、車の前に人が立てるスペースさえあれば、自動車を窃盗できてしまいます。
CANインベーダーの手口を簡単に説明しますと、まず車のフロントバンパーを外側から外し、手が届きやすいCAN信号につながる端子に特殊な機械を接続します。
この接続により、制御システムに侵入して、自動車のロックを解除することができます。
リレーアタックでは、車のキーを金属製の入れ物に保管して電波遮断するという方法で盗難対策が可能でした。
しかし、CANインベーダーではそのような対策が通用しません。
千葉県の自動車盗が全国ワースト 被害の8割は施錠車
千葉県内で今年確認された自動車盗は8月末現在で493件で、この件数は全国ワーストだったようです。
窃盗被害にあった自動車は、都市部では高級車が、千葉県東南部ではトラックなどが多かったようです。
千葉県警生活安全総務課によると、千葉県内の自動車盗認知件数は2013年の3295件をピークに減少傾向にあるようですが、千葉県の自動車盗件数は全国上位の状態が続いているようです。
これは、千葉県の高速道路網が発達していることや、車を保管・解体するヤードがあること、車を運搬する港があることが原因のようです。
前述したように、千葉県内で今年確認された自動車窃盗は、8月末現在で前年同期比25件増の493件でした。
これら被害にあった車の約8割は、きちんと施錠をしていたにも関わらず自動車窃盗の被害に遭ったようです。
今後も、自動車の盗難防止対策と、新たな手口の登場による「イタチごっこ」の状況が続いていくのかもしれません。
自動車窃盗をしてしまった
自動車窃盗は被害金額も高く、上記した千葉市稲毛区の事件例のように被害件数が多い場合は、逮捕・勾留されるだけでなく、公判請求されたのち、実刑判決が下される可能性が高いです。
もし、あなた自身が自動車窃盗事件を起こし、警察から取調べを受けている場合や、ご家族が自動車窃盗事件を起こして逮捕されてしまった場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部の無料法律相談または初回接見サービスをご利用下さい。
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