電車の無賃乗車(キセル)が発覚して刑事事件に
- 2020年11月6日
- コラム
電車を無賃乗車(キセル)が発覚して刑事事件に発覚した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
電車の無賃乗車(キセル)について
船橋市に住むAさんは、千葉市内の会社に電車通勤しています。
先月、購入したばかりの定期券を紛失してしまったAさんは、それ以降、自動改札機を通過する際にICカードをタッチしたふりをして、前の人について改札機を通過する方法で、無賃乗車を繰り返していました。
そしてついに昨日、自宅最寄りの駅で張り込んでいた警察官に捕まってしまい、船橋警察署に連行されて取調べを受けたのです。
逮捕こそされませんでしたが、今後も呼び出されることになったAさんは、今後の手続きや、刑事処分の見通しが不安で、刑事事件専門の弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
無賃乗車(キセル)
電車の無賃乗車をキセルと言います。
昔は、駅の改札には駅係員が立って、乗客の切符をチェックしていましたが、最近はどこの駅にも自動改札機が導入されて、駅係員が乗客の切符をチェックすることはほとんどなくなりました。
またICカードが普及し、電車を利用するたびに乗車券(切符)を購入しなくても電車を利用できるようになっており、乗車中に乗務員が乗客の乗車券(切符)を確認することもほとんどなくなっています。
このように乗客は、駅係員や乗務員と接することなく電車を利用できるようになっているのですが、鉄道各社では無賃乗車(キセル)の被害が後を絶たないようです。
このような事件が大きく報道されることはありませんが、無賃乗車(キセル)が発覚してしまうと、鉄道会社は厳正に対応しており、警察沙汰になるだけでなく、莫大な賠償を請求されることもあるので、注意しなければなりません。
無賃乗車(キセル)に適用される法律
詐欺罪
無賃乗車(キセル)には様々な法律が適用され、一概に適用される法律が定まっていないのが実情です。
その一つとして詐欺罪があります。
人を騙して財物や利益を得ることによって成立する詐欺罪は、刑法第246条に規定された法律で、起訴され有罪判決を受けると「10年以下の懲役」が科せられることになります。
ただ詐欺罪は『人を騙して』から財物や利益を得ることによって成立する犯罪です。
先述したように、最近は、駅係員や乗務員とほとんど接することなく電車を利用できるようになっているので、無賃乗車(キセル)をする過程で、詐欺罪の構成要件である「人を騙す」という行為が見当たらず、詐欺罪が適用されないことも多々あります。
その他の法律
詐欺罪の他にも、電子計算機使用詐欺罪や、鉄道営業法、場合によっては威力業務妨害罪が適用される可能性があります。
電子計算機使用詐欺罪とは、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて、財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、財産上不法の利益を得ることによって成立する犯罪です。
無賃乗車(キセル)に対して、この法律が適用されるかどうかについては諸説ありますが、過去には自動改札機を使用した不正乗車(キセル)事件に、裁判所が、電子計算機使用詐欺罪の適用した判例があります。
また鉄道営業法は、有効な乗車券をなくして乗車することを禁止しています。
これに違反した者には2万円以下の罰金又は科料が科せられる可能性があります。
詐欺罪や電子計算機使用詐欺罪とは天と地ほど違う罰則規定に驚いた方もいるのではないでしょうか。
最後に、無賃乗車(キセル)の方法によっては、威力業務妨害罪が適用される可能性も考えられます。
威力業務妨害罪が適用された場合、起訴されて有罪が確定すれば「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられることになります。
刑事事件に強い弁護士
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