偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪の違い
- 2021年12月4日
- コラム
業務を妨害する犯罪である偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
偽計業務妨害罪とは
偽計業務妨害罪は刑法第233条において、
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて人の信用を毀損した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する
と定めている犯罪です
偽計業務妨害罪にあたる偽計とは、人を欺くこと、あるいは人の錯誤や不知を利用するなど、威力以外の不正な手段を用いることです。
加えて、真実と異なった内容の事項を不特定、または多数の人に伝播させることを意味する虚偽の風説の流布も、偽計業務妨害罪の偽計に当たります。
偽計業務妨害の事件例
無職男性のAさんは、1か月前に退職した会社に対し、3日間で200回電話をかけ、電話をとった従業員に対し、
「クビになったんだけど」などと言い、会社の業務を妨害した疑いで、千葉県富津警察署により偽計業務妨害罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです。)
威力業務妨害罪とは
威力業務妨害罪は、刑法第234条において、威力を用いて人の業務を妨害した者は3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すると規定されています。
威力とは人の意思を制圧するような勢力であると定義されています。
暴行や脅迫はもちろん、それに至らないものであっても、社会的な地位を利用した威迫や、団体の力を誇示したり、騒音喧騒を起こしたり、器物損壊をするなどし、人の意思を制圧するに足りる勢力も、威力業務妨害罪でいうところの威力に含まれるとされています。
威力業務妨害の事件例
主婦Aさんは、鉄道会社に対し、「車内に薬品をばらまきます」というメールを送り、鉄道会社の営業を妨害しました。
後日、Aさんは威力業務妨害罪の疑いで、千葉県勝浦警察署で取調べを受けることとなりました。
(フィクションです。)
威力業務妨害罪と偽計業務妨害罪の区別
威力業務妨害罪と偽計業務妨害罪は、共に人の業務を妨害する犯罪ですが、行為の態様または結果のいずれかが、公然・誇示的、可視的であれば威力業務妨害罪が成立し、これらが非公然・陰密的、不可視的であれば偽計業務妨害罪が成立するとされているようです。
まとめますと、被害者に分かる形でなされた妨害行為については威力業務妨害罪が成立する可能性が高く、被害者に分からない形でなされた妨害行為は偽計業務妨害罪が成立する可能性が高いと区別されます。
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