偽計業務妨害罪 威力業務妨害罪との違いは
- 2021年6月13日
- コラム
業務を妨害する犯罪である偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
<偽計業務妨害罪とは>
刑法第233条において、“虚偽の風説を流布し”、又は偽計を用いて人の信用を毀損した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する(刑法第233条から抜粋)と偽計業務妨害罪について定めています。
偽計業務妨害罪でいうところの“偽計”とは、人を欺くこと、あるいは人の錯誤や不知を利用するなど、威力以外の不正な手段を用いることです。
そして、真実と異なった内容の事項を不特定、または多数の人に伝播させることを意味する“虚偽の風説の流布”も、偽計業務妨害罪でいうところの“偽計”に当たります。
偽計業務妨害事件にあたると認められた裁判例として、デパート売場の布団に縫い針を混入させてデパートの営業を妨害した事件や、銭湯の入口付近に「休業」と書いた紙を掲示して銭湯の営業を妨害した事件があります。
また最近では、コンビニで人気アニメのキャラクターグッズが当たる「一番くじ」12枚を開封し、代金を支払わずに箱の中に戻すなどとして、コンビニの営業を妨害した男性が、器物損壊罪や偽計業務妨害罪などの罪に問われ、その後の裁判で懲役1年の判決が言い渡されました。
<威力業務妨害罪とは>
威力業務妨害罪は、刑法第234条において、威力を用いて人の業務を妨害した者は3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処するとしています。
“威力”とは人の意思を制圧するような勢力であると定義されています。
暴行や脅迫はもちろん、それに至らないものであっても、社会的な地位を利用した威迫や、団体の力を誇示したり、騒音喧騒を起こしたり、器物損壊をするなどし、人の意思を制圧するに足りる勢力も、威力業務妨害罪でいうところの“威力”に含まれるとされています。
威力業務妨害事件にあたると認められた事件としては、インターネットの掲示板に「(文化センターの)教室に灯油をぶちまき、火をつければ、あっさり終了」「文化センターが血の海になりますよ」などと書き込み、文化センターの業務を妨害した事件について、威力業務妨害罪の成立を認めた裁判例があり、また最近では、あるプロスポーツチームに球団施設の爆破予告をするメールを送り、チームの運営を妨害した男性が威力業務妨害罪の容疑で逮捕され、罰金刑を受けました。
<威力業務妨害罪と偽計業務妨害罪の区別>
威力業務妨害罪と偽計業務妨害罪は、共に人の業務を妨害する犯罪ですが、行為の態様または結果のいずれかが、公然・誇示的、可視的であれば威力業務妨害罪が成立し、これらが非公然・陰密的、不可視的であれば偽計業務妨害罪が成立するとされているようです。つまり、被害者に分かる形でなされた妨害行為については威力業務妨害罪が成立する可能性が高く、被害者に分からない形でなされた妨害行為は偽計業務妨害罪が成立する可能性が高いと区別されているのです。
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