銀行口座を他人に譲渡 犯罪収益移転防止法違反事件に強い弁護士
- 2021年7月19日
- コラム
銀行口座を他人に譲渡し、犯罪収益移転防止法違反となった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
<千葉県横芝光町の犯罪収益移転防止法事件>
生活に困窮していたAさんは、SNS上で「あなたの銀行口座買います!」という投稿を見つけました。
Aさんは数年前に開設して最近はほとんど使用していなかった銀行口座のキャッシュカードや暗証番号を、投稿者に譲り渡しました。
当初は3万円で銀行口座を買い取ってもらえる約束だったのですが、先方からお金が振り込まれることは無く、諦めかけていたある日、銀行から口座を凍結する旨の連絡があり、Aさんの銀行口座が犯罪に使用されている可能性があることを知りました。
Aさんが千葉県山武警察署にそのことを相談しに行くと、警察の方から「あなたの行ったことは、犯罪収益移転防止法違反に当たります。」と言われ、そのまま取り調べを受けることになりました。
(フィクションです。)
<犯罪収益移転防止法>
他人に銀行口座を譲渡するといったAさんの行為は犯罪収益移転防止法違反となります。
犯罪収益移転防止法とは、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の略称で、この法律の第28条で、銀行口座の譲受や譲渡を禁止しています。
まず、第28条第1項では、他人になりすまして、預貯金の預け入れ、引き出しなどをするため、または、第三者にこれらをさせるために、預貯金通帳等を譲り受ける等した場合や、正当な理由がないのに、預貯金通帳等を譲り受けることを禁止しています。
そして第2項では、他人になりすまして、預貯金の預け入れ、引き出しなどをするため、または、第三者にこれらをさせることを知って、他人に銀行口座を譲渡することを禁止しています。
Aさんの行為は、この2項に違反することは間違いないでしょう。
銀行口座を譲受・譲渡する行為は、有罪となれば「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金」が科せられ、場合によっては懲役刑と罰金刑の両方が科せられる(併科)こともあります。
<犯罪収益移転防止法違反で逮捕されるの?>
他人に譲渡した口座は、振り込め詐欺等の犯罪に利用される場合がほとんどです。
上記のAさんのように、他人に銀行口座を譲渡したような犯罪収益移転防止法違反事件で逮捕される可能性は極めて低いようです。
しかし、詐欺グループと近い関係にあったり、複数の銀行口座を他人に譲渡しているような場合は、逮捕される可能性もあるので注意が必要です。
<詐欺罪で立件された場合、起訴される可能性も>
上記したAさんは、もともと持っていた銀行口座を他人に譲渡していますが、仮に、他人に譲渡する目的を隠して、銀行口座を開設した場合、銀行に対する詐欺罪が成立します。
なぜならば、金融機関で口座を開設する際に、行員に対し「銀行口座の使用目的」を偽って口座開設をするため、その口座は銀行から騙し取ったものとして考えられるからです。
詐欺罪は刑法に定められた法律で、その法定刑は「10年以下の懲役」となっています。
<千葉県内での犯罪収益防止法での送致人員>
千葉県警察本部の発表によると、犯罪収益移転防止法違反での送致件数は、令和元年が96件だったのに対し、令和2年は107件と11.5%増えたようです。
犯罪収益移転防止法で検挙された被疑者のなかには「自分は詐欺の被害者だと思っていた。」と、自分が犯罪に加担していたという自覚がない方も多いようです。
また、犯罪に利用される等して自身の銀行口座が凍結されてしまうと、その口座での取引が一切できないのは当然のこと、同一名義人の口座が全て凍結されてしまったり、新たに銀行口座を開設することすらできなくなったりと、その後の私生活において大きな影響がでてしまいますので、他人に銀行口座を譲渡する行為は絶対にしないでください。
インターネットや掲示板や、SNS等では
「銀行口座を送れば融資します。」
「使わなくなった銀行口座を買い取ります。」
といった書込みをよく目にしますが、有償、無償を問わず銀行口座の譲渡は犯罪です。
<犯罪収益防止法事件に強い弁護士>
銀行口座を他人に譲渡し、犯罪収益防止法違反で警察から取り調べを受けている方や、ご家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部の無料相談もしくは初回接見サービスをご利用下さい。
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