ひき逃げ事件で後日逮捕を避ける弁護活動
- 2021年12月20日
- コラム
ひき逃げ事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
千葉県市川市在住のAさん(20代男性)は、自動車を運転中に、歩行者と接触する事故を起こして、歩行者は転倒して怪我をしたが、Aさんは仕事先への移動中で急いでいたため、そのまま見て見ぬふりをして走り去ってしまった。
ひき逃げという罪の重さに不安になったAさんは、刑事事件に強い弁護士との法律相談に行き、後日逮捕を避けるための弁護活動を検討することにした。
Aさんは、弁護士に刑事弁護活動を依頼し、まずは最寄りの千葉県市川警察署に、弁護士とともに出頭して、捜査機関側に反省の意思を示し、被害者への謝罪や示談交渉、警察取調べ対応や逮捕回避に向けて、弁護士に動いてもらうことにした。
(フィクションです)
ひき逃げという犯罪とは
交通事故を起こしてしまった者には、道路交通法の規定により、
① 負傷者を救護する義務 (救護義務)
② 道路における危険を防止する義務 (危険防止措置義務)
③ 警察官に対する報告義務 (報告義務)
が生じます。
人を負傷させる人身事故を起こしたまま救護せずに走り去った場合には、交通事故を起こしたことに加えて、救護義務に違反したとして、ひき逃げに該当し、さらに重い刑事処罰を受けることになります。
・道路交通法 72条1項 (救護義務、危険防止措置義務、報告義務)
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(略)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(略)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(略)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
上記のうち、救護義務に違反する形でひき逃げをした場合の刑罰の法定刑は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。
これは、通常の人身事故の場合の過失運転致死傷罪の法定刑である7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金と比べて、より重い罪となります。
ひき逃げ事件の逮捕回避の弁護活動
刑事犯罪を起こした場合には、事件を担当する警察官や検察官の判断により、警察署での取調べの後に自宅に帰れるか、あるいは、逮捕されて身柄拘束を受けたままで取調べが続くか、のどちらかが判断されます。
とりわけ、ひき逃げ事件の場合には、一度、事故現場から逃げている事情があるため、逃亡のおそれありと判断されて、逮捕される可能性がより高まる傾向にあります。
弁護士に自首同行や、逮捕回避の弁護活動を依頼し、弁護士の側から「被疑者が今後も警察取調べに応じることや、警察取調べに応じさせるための家族の監督環境等が整っている事情や、仕事を休むわけにはいかない事情など」を捜査機関側に対して主張することで、刑事処罰の軽減や、身柄拘束の回避を目指すことが重要となります。
当て逃げがひき逃げに切り替わる場合
自動車同士が軽く接触するような物損事故を起こして、そのまま走り去った場合には、危険防止措置義務や報告義務に違反するとして、当て逃げの罪が成立し、刑事処罰を受けます。
ただし、最初は物損事故や当て逃げ事件だと思っていたケースでも、後日になって、相手方の自動車の運転手が「むちうち症状が出た」と言い出し、病院の診断書を警察に提出すれば、人身事故やひき逃げ事件という重い罪に、切り替わってしまう可能性があります。
人身事故やひき逃げ事件への切り替わりを防ぐためにも、弁護士を依頼して、被害者側との示談交渉を行い、被害者から許してもらう形の示談、すなわち、交通事故の怪我について、病院の診断書を警察に提出しない意思を含む示談を成立させることが、刑事処罰軽減や不起訴処分獲得に向けて、大きく影響する弁護活動となります。
まずは、ひき逃げ事件が発生してから、できるだけ早期の段階で、刑事事件に強い弁護士に法律相談することが重要です。
千葉県市川市のひき逃げ事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部の弁護士にご相談ください。
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