女子中学生に顔や足の写真を送らせた強要罪の疑いで男性を逮捕~市原市内の強要事件~
- 2023年9月10日
- その他の刑法犯事件
今回は、女子中学生に対して顔や足の写真を送るよう強要したとして、強要罪の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説致します。
【事例】
中学生の少女に顔や足の写真を送らせたとして、兵庫県警少年課と甲子園署は4日、強要の疑いで千葉県市原市の無職の男A(42)を逮捕した。
逮捕容疑は6月17日、交流サイト(SNS)のアプリで知り合った阪神間の女子中学生に「顔や足の写真を送りなさい」と強要し、写真を送らせた疑い。
同署によると、男は「(あなたの)個人情報が拡散されている」と女子生徒にうそのメッセージを送り、拡散を食い止める代わりに写真を送るよう強要したとみられる。
調べに対し「他にも多くの人とやりとりをしていたので細かいことは覚えていないが、写真を送るように言ったのは間違いない」と容疑を認めている。
甲子園署によると、別の事件について男から任意で事情を聴いていたが、スマートフォンを押収した際、女子生徒とみられる写真などが見つかったといい、今回の容疑が浮上した。
(※9/5(火)に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「女子中学生に「顔と足の写真送りなさい」 強要疑いで千葉の42歳男逮捕、個人情報の拡散止めるとうそ」記事の一部を変更して引用しています。)
【強要罪とは】
今回の事例で、Aは強要罪の疑いで逮捕されています。
強要罪については、刑法第223条で以下のように規定されています。
・刑法第223条(強要)
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前2項の罪の未遂は、罰する。
強要罪は、「生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加えることを告知」し、「脅迫や暴行」を用いて「人に義務のないことを行わせる」又は「権利の行為を妨害する」ことで成立する犯罪です。
強要罪における脅迫の程度は、一般人が畏怖(恐怖)するに足りる程度であることが必要です。
つまり、相手の生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加えることを、口頭や文章、態度などによって示し、相手がそれに畏怖(恐怖)して、義務のないことを行わせたり行使できる権利を妨害したりすることで、強要罪が成立するということです。
また、強要罪は、本人だけでなく親族に対する脅迫行為であっても成立すると規定されています。
今回の事例で考えると、Aは女子中学生に対して「あなたの個人情報が拡散されている、拡散を食い止める代わりに顔と足の写真を送りなさい」といった旨のメッセージを送っています。
逆に言えば、「個人情報をこれ以上拡散されたくなければ、顔と足の写真を送りなさい」といった内容になるので、名誉に対して害を加えることを告知し、「個人情報が拡散されてしまう」といった畏怖するに足りる脅迫を用いて、義務のない顔や足の写真を送らせているため、強要罪が成立すると考えられます。
【強要罪と脅迫罪の違い】
強要罪に似た罪として脅迫罪があります。
脅迫罪については、刑法第222条で以下のように規定されています。
・刑法第222条(脅迫)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
強要罪と脅迫罪の大きな違いは、「義務のないこと行わせている」又は「権利の行使を妨害している」かどうかです。
脅迫罪は、相手の生命・身体・自由・名誉・財産に対する害悪の告知があった時点で成立しますが、強要罪は脅迫や暴行を用いて、義務のないことを行わせたり権利の行使を妨害することで成立します。
【強要罪で逮捕されたら弁護士へ】
強要罪が成立すると、3年以下の懲役刑で処罰されます。
強要罪には罰金刑がないため、検察官から起訴されると、裁判が開かれる公判請求がなされることになります。
また、検察官から起訴された時点で前科が付いてしまうため、今後の人生に影響を与えないためには不起訴処分を獲得することが重要になります。
強要罪で不起訴処分を獲得するためには、被害者との示談を締結させることが大切なポイントになります。
被害者との示談を締結することで、当事者間での事件は終了したと検察官に示すことができるため、検察官としても起訴・不起訴を決定する重要な判断材料になります。
ただ、当事者間で示談を締結しようとすると、被害者から示談を断られたりスムーズに示談交渉ができなかったりする危険性もあります。
なので、強要罪による刑事事件を起こしてしまい、被害者と示談を締結したいと思っている方は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。
弁護士が代理人として、被害者との示談交渉を行うため、当事者間で示談を進めるよりもスムーズな示談交渉ができ、示談が締結する可能性も高まります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強要罪による刑事事件はもちろん、様々な刑事事件で被害者との示談を締結して不起訴処分を獲得した実績を持つ刑事事件に特化した法律事務所です。
千葉県市原市内で刑事事件を起こした方や、ご家族が逮捕されてしまったという方は、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。