公務執行妨害罪で逮捕 略式起訴による罰金に
- 2021年2月27日
- コラム
公務執行妨害罪と略式起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
公務執行妨害で逮捕
Aさんは、会社の飲み会に参加した帰りに,千葉県千葉市内にある会社の最寄り駅で駅員と口論になりました。
そうしたところ,駅員の通報で警察官が駆けつけ,Aさんは警察官から話を聞かれることになりました。
話をしていたAさんは,警察官の態度が気に食わず,警察官の胸倉をつかみました。
これにより,Aさんは公務執行妨害罪の疑いで現行犯逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は,処分の見通しとして略式起訴による罰金の可能性が高いと考えました。
(フィクションです。)
公務執行妨害罪について
第九十五条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
公務執行妨害罪は、職務を行っている公務員に対して暴行または脅迫を加えた場合に成立する可能性のある罪です。
多くは警察官に対するものが目につくかと思いますが,それ以外の公務員についても当然に公務執行妨害罪の成立はありえます。
「暴行」と聞くと殴る蹴るといった行為を想像されるかもしれませんが,それ以外の行為であっても公務執行妨害罪における「暴行」と捉えられることはあります。
ここでの「暴行」とは,不法な有形力・物理力の行使一切を指すと考えられており,この定義に従う限り幅広い行為が「暴行」に当たりうるからです。
今回のケースでは,Aさんが通報を受けて駆け付けた警察官の胸倉を掴んでいます。
胸倉を掴むという行為も,不法な有形力・物理力の行使として「暴行」に当たると考えられています。
そして,「暴行」を対象である警察官は,今まさに職務を行っている公務員だと言えます。
以上より,Aさんには公務執行妨害罪が成立することが見込まれます。
略式起訴とは何か
捜査機関が事件を把握すると,各種の捜査によって証拠を集め,最終的に被疑者を起訴すべきかどうか(裁判にかけるべきかどうか)を決めることになります。
証拠収集のための捜査は主に警察官が担当し,必要に応じて検察官が補充的に捜査を行う一方で,起訴するかどうかの判断は検察官のみが行います。
検察官による起訴の方式として,略式起訴という特殊な方式があります。
略式起訴とは,100万円以下の罰金刑を科すのが相当な事案において,裁判所に対して通常より簡易な裁判を請求する手続のことです。
検察官の請求を受けた裁判所は,事件の内容を確認し,相当と認められる場合には略式手続により裁判を行うことになります。
略式起訴の最大の特徴と言うべき点は,裁判官が事件の審理を書面上で行う点です。
通常,裁判と聞くと裁判所の法廷で関係者や傍聴人同席のもと行われるのをイメージされるかと思いますが,そうではなく非公開の状態で一切の判断が行われます。
そのため,裁判を受ける被告人にとっては,通常の場合と比べて心身の負担が大幅に軽減されることが期待できます。
その一方で,書面上で迅速に行われる都合上,たとえば証人尋問が行えないなど通常の裁判より淡白なものになりがちだというのも事実です。
そのため,検察官が略式起訴を行うためには被疑者の同意を必要となるほか,裁判所から略式命令(通常の裁判で言う判決)を受けてから一定の期間であれば通常の裁判を要求できることになっています。
以上のとおり,略式起訴は通常の裁判と異なる点が多々あり,一般の方々にとっては通常の裁判以上に馴染みのないものです。
もし何か不安な点があれば,ぜひ弁護士にご相談ください。
公務執行妨害罪に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では、刑事事件に強い弁護士が、略式起訴について丁寧に説明いたします。
ご家族などが公務執行妨害罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部にご相談ください。