強制わいせつ致傷罪で起訴 裁判員裁判を解説
- 2020年12月13日
- コラム
強制わいせつ致傷罪で起訴された時に行われる「裁判員裁判」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
強制わいせつ致傷罪で起訴
大学院生のA(23歳)は、約半年前、千葉県君津市の路上において、歩いて帰宅途中の20代の女性に道を尋ねるふりをして近付き、女性の口をふさいで押し倒し、女性のスカートの中に手を入れて陰部を弄ぶ等の暴行をはたらきました。
女性が助けを求めて大声で叫んだことから、Aはその場から逃走しましたが、女性はAに倒された際に、足首を骨折しており、全治1ヶ月の大けがを負っていました。
事件発生から約5ケ月経って、千葉県君津警察署に逮捕されたAは、先日、強制わいせつ致傷罪で起訴され、その裁判は、裁判員裁判で行われることになりました。
(フィクションです。)
裁判員裁判って?
裁判員制度とは、一定の重大犯罪について有権者の中から選ばれた裁判員が職業裁判官とともに、刑事裁判を行う日本独自の司法制度です。
裁判員裁判の対象事件は、死刑又は無期の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪を扱う事件及び、裁判官の合議事件で故意に被害者を死亡させる罪を扱う事件です(裁判員法2条1項)。
もっとも、裁判員裁判は、地方裁判所で行われる刑事事件の第一審に限られており、刑事事件の控訴審や上告審・民事事件で裁判員裁判が行われることはありません。
裁判員制度が行われる目的は、国民が刑事裁判に参加することにより、国民が司法をより身近なものと感じ、国民の司法に対する理解をより深めてもらうことで、裁判の正統性に対する国民の信頼を確保することです。
裁判員に選ばれた人は、裁判官とともに事実を認定し、犯罪の成否を判断し、そして量刑を決めます。
これらの判断は、裁判官と裁判員が十分に議論したうえで、多数決をとり、基本的には単純過半数により決します。
通常の刑事裁判と何が違うの?
裁判員裁判の対象事件は、一定の重大犯罪に限られます。
具体的には、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪、強制性交等致死傷罪、強制わいせつ致死傷罪、保護責任者遺棄致死罪、現住建造物等放火罪などです。
そのため、裁判員裁判では、実刑判決が言い渡されることが多く、執行猶予付き判決が言い渡されることは少ないといえます。
裁判員裁判では、一般の人が裁判に参加しますから、裁判員となった人の負担を軽減するように、制度設計が工夫されています。
具体的には、裁判前に事実や証拠を整理し、裁判の争点を絞り込む公判前整理手続を行った上で、実際の刑事裁判は集中的に連日行われるようになっています。
裁判員裁判には刑事事件専門の弁護士が強い
公判前整理手続
裁判員裁判における公判前整理手続において、被告人は、弁護士を通じて被告人に有利になるように適切な主張と立証の準備をしなければなりません。
弁護士が公判前整理手続きで、被告人に有利な主張・立証をするためには、検察官や裁判所に対して証拠開示請求・証拠開示の裁定請求を積極的に行い、警察・検察が持っている被告人に有利な証拠を開示させなければなりません。
このように、裁判前の段階においても弁護士が果たすべき役割は大きいと言えます。
裁判員裁判において
裁判員裁判の一番の特徴は、一般市民が刑事裁判に参加することです。
そのため、被告人を弁護する弁護士も通常の裁判のとき以上に、入念な準備と丁寧な対応を心掛けなければなりません。
具体的には、法律の素人である一般市民の方にもわかりやすい言葉で事実や証拠を説明し、通常裁判よりもより丁寧に慎重に検察官に対する反論をしていかなければなりません。
そうでなければ、純粋な目で裁判を見守る裁判員を納得させることはできないからです。
もっとも、このような弁護活動をするには、豊富な知識と経験、非常に高い弁護技術が求められます。
強制わいせつ致傷罪で起訴された方は
強制わいせつ致傷罪で起訴される、その裁判は裁判員裁判によって行われます。
裁判員裁判は通常の刑事裁判とは異なり、刑事事件に精通した弁護士でなければ被告人の弁護を十分にすることは困難でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は刑事事件に特化した法律事務所です。
裁判員裁判を経験した弁護士が所属していますので、ご家族、ご友人が強制わいせつ致傷罪で起訴されてしまった方、裁判員裁判に強い弁護士をお探しの方は、お気軽にご相談ください。