10代の少女にみだらな行為をしたとして男性を不同意性交罪の疑いで逮捕~みだらな行為とは?~
- 2023年9月24日
- その他の刑法犯事件
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が、不同意性交等罪の疑いで千葉県在住の男性が逮捕された事例をもとに、不同意性交等罪が成立する要件や「みだらな行為」の定義について解説します。
【事例】
県内に住む10代の少女にみだらな行為をしたとして、岐阜県警は20日、千葉県に住む男性を不同意性交等罪の疑いで逮捕しました。
逮捕されたのは千葉県内に住む派遣社員の男性A(34)です。
警察によりますと、Aはことし8月、県内に住む10代の少女Vを名古屋市内のホテルに誘い、16歳未満と知りながらみだらな行為をした疑いです。
AとVはSNSで知り合ったということで、Vの親からの通報で発覚しました。
Aは容疑を否認しているということですが、警察は動機や余罪など捜査を進めています。
(※9/20に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「10代女性にみだらな行為をした疑い 千葉県の男を不同意性交の疑いで逮捕 岐阜県警」記事の一部を変更して引用しています。)
【不同意性交等罪とは】
不同意性交等罪とは、令和5年に施行された改正刑法で新設された罪です。
従来の強制性交等罪と準強制性交等罪が統合されていて、改正前の強制性交等罪では処罰できなかったケースにも対応できるように内容が変更されています。
不同意性交等罪については、刑法第177条で以下のように規定されています。
・刑法第177条(不同意性交等)
前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な 状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
不同意性交等罪は、相手(被害者)が同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態で性交等を行うことで成立します。
「同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態」に陥らせる行為については、以下の行為が挙げられます。
① 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
② 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
③ アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
④ 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
⑤ 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
⑥ 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
⑦ 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
⑧ 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
また、行為がわいせつなものではないと被害者に誤信させたり、行為をする人を違う人だと勘違いさせたりして性交等を行った場合も、不同意性交等罪が成立します。
さらに、16歳未満の人に対して性交等を行った場合は、同意の有無に関わらず不同意性交等罪が成立します。
【みだらな行為とは】
今回の事例でも記載されているように、性犯罪事件に関するニュースで「わいせつな行為」や「みだらな行為」といった言葉を聞くことも多いのではないでしょうか。
「みだらな行為」とは、具体的には性交を指し、「淫行」と似た意味合いになります。
ただ、児童福祉法における「淫行」は、みだらな行為よりも概念が広くなり、性交や性交類似行為まで含まれます。
一方で、「わいせつな行為」とは、性交はなく性交類似行為でとどまる場合を指します。
今回の事例で考えると、AはVに対して「みだらな行為」をしたとされているため、性交があったと考えられます。
また、Vは16歳未満であったため、Aは不同意性交等罪が成立し、逮捕されたということになります。
【不同意性交等罪で逮捕されてしまったら】
不同意性交等罪の処罰内容は5年以上の有期拘禁刑のみで、罰金刑による処罰がありません。
また、不同意性交等罪は逮捕・勾留されて長期的な身柄拘束を受けたり、起訴されて裁判にかけられる可能性も高いです。
なので、もし、ご家族が不同意性交等罪で逮捕されたと警察から連絡があった場合は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
逮捕されてしまえば、原則として最大72時間はご家族が面会することはできず、何が起こっているのか詳細も分からないまま不安な時間を過ごすことになります。
ですが、弁護士であれば逮捕後すぐに本人と面会(接見)できるため、事件の詳細や事実関係などを確認してご家族に説明することができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所で、ご家族が逮捕された方向けの初回接見サービス(有料)を提供しています。
千葉県にお住まいの方であれば、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部の弁護士が最短当日中に接見に向かいますので、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。