幼い子どもを置き去りにして外出 保護責任者遺棄罪の可能性が
- 2020年11月1日
- コラム
幼い子供を自宅に置き去りにして外出した母親が保護責任者遺棄罪に問われた事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
幼い子供を置き去りにして外出
千葉市内の公営団地に住んでいるAさんは、2年前に離婚し、パチンコ店で働きながら3歳になったばかりの一人娘を育てています。
数か月前から、パチンコ店の常連客である男性と恋仲になったA子さんは、仕事が終わってからこの男性とデートをすることが度々あり、その間、保育所から帰宅した娘を自宅に置き去りにしていました。
最近は深夜までデートする回数が増え、夜中まで娘を一人にしていたのですが、毎日のように夜中に子どもの鳴き声がすることを不審に思った近所の住民が、千葉中央警察署に通報して、ついに自宅に警察官が駆け付ける騒ぎになりました。
警察官によって娘は保護されましたが、その翌日からA子さんは警察署に呼び出されて、保護責任者遺棄罪の容疑で取調べを受けています。
(フィクションです。)
保護責任者遺棄罪
保護責任者遺棄罪は、老人、幼児、身体障害者、病人等を保護すべき責任のある者が、これを遺棄又はその生存に必要な保護を行わない場合に成立する犯罪です。
この法律は、保護すべき者しか主体になり得ないので、身分犯とされています。
また、この法律でいう「遺棄」とは、被遺棄者を危険な場所に移転させる移置のほか、被遺棄者を危険な場所に置き去り行為も含みます。
保護責任者遺棄罪の遺棄の要件としては、要保護者は、遺棄されたことによって、その生命・身体に危険が及ぶ状態に陥らなければならないとされているが、この危険は必ずしも具体的な物である必要はなく、抽象的な危険であれば足りるとさせています。
ですから今回の事件の場合だと、自宅に置き去りにされた娘は、警察に保護されたことによって危険を回避することができていますが、この事は、保護責任者遺棄罪の成立には何ら影響しないと考えられます。
逆に、要保護者の生命・身体に危険が認められない場合は、保護責任者遺棄罪は成立しません。
ちなみに保護責任者遺棄罪において保護責任者に必要とされる保護義務は、要保護者の生命・身体を危険にさらしてはならないという義務であって、民法上の扶養義務とは異なります。
例えば
・夫が、妻のもとに幼児を残して失踪する。
・幼児を養育院に託した両親が、養育料の支払いを怠る。
場合などは、保護者が扶養義務を怠る行為ではありますが、それによって要保護者の生命・身体が危険にさらされるわけではないので、保護責任者遺棄罪は成立しません。
殺人罪に問われる可能性も~未必の殺意~
また幼児を置き去りにするという行為形態の場合は、殺意の有無にもよりますが保護責任者遺棄(致死)罪どころか、殺人(未遂)罪が成立することもあるので注意しなければなりません。
みなさんは、十数年前に、長期間にわたって2人の幼児を自宅に置き去りにして死亡させた事件をご存知でしょうか。
この事件は、母親によって、約1ヶ月間もの間、自宅に置き去りにされた幼い子供二人が餓死した事件です。
この事件で逮捕された母親は、後の刑事裁判で、子供に対する未必の殺意が認定されて、殺人罪で有罪(懲役30年)が確定しています。
保護責任者遺棄罪に強い弁護士
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