ストーカー規制法違反で禁止命令
- 2020年5月18日
- コラム
ストーカー規制法違反で禁止命令が出された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
~ケース~
千葉県四街道警察署は、市内に住むVさんの相談を受けて、Vさんの元交際相手Aさんに、これ以上Vさんに近づかない、連絡をとらないようにとの警告を受けました。
Aさんは、その後しばらくは連絡を絶っていましたが、自分が一方的にストーカーとして悪者にされるのは気に食わないと思い、Vさんに再び連絡を取るようになりました。
すると、四街道警察署から、Vさんへの接触や連絡をやめるようにとの禁止命令が出されました。
Aさんは、禁止命令が出されたことで今後どのようになるのか心配で、刑事事件に詳しい弁護士に相談しに行きました。
(フィクションです。)
ストーカー規制法
ストーカー規制法は、ストーカー行為をした者に対して、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金を科すとしています。
ストーカー規制法で規制される「ストーカー行為」とは、「同一の者に対し、つきまとい等(第1項第1号から第4号まで及び第5号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすること」をいいます。
◇犯行の対象◇
対象は、特定の者、その配偶者、直系・同居の親族、その他特定の者と社会生活において密接な関係を有する者です。
◇行為◇
ストーカー行為となり得るのは、次の「つきまとい等」の特定の行為です。
①つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所の付近において見張りを司、住居等に押しかけ、又は住居等の付近をみだりにうろつく。
②行動を監視していると思わせるような事項を告知又はその知り得る状態に置く。
③面会・交際・その他義務のないことの要求。
④著しく粗野、乱暴な言動。
⑤無言電話、拒まれたにもかかわらず、連続して電話、FAX送信若しくは電子メール・SNSのメッセージ送信等をする。
⑥汚物、動物の死体、その他不快又は嫌悪の情を催させる物の送付又はその知り得る状態に置く。
⑦その名誉を害する事項の告知又はその知り得る状態に置く。
⑧その性的羞恥心を害する事項の告知、その文書・図画・電磁的記録媒体等を送付、いずれもその知り得る状態に置く。
これらの行為は、複数回繰り返して行われることが必要です。
◇目的◇
特定の者に対する恋愛感情その他の行為の感情を充足する、若しくはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、行われることが必要です。
ストーカー規制法違反の流れ
被害者からの申出を受け、つきまとい等があり、かつ更に反復しておこなわれるおそれがあると認められる場合、警察署長等は、まず、行為者に対して、これ以上つきまとい等を行わないよう「警告」をすることができます。
この「警告」は、行為者に対して警告書を交付する方法で行われます。
警告は、行政指導であり、行為者に義務を課したり、その権利を制限するような法律上の拘束力はありません。
つきまとい等があり、かつ反復のおそれありと認める場合には、被害者の申し出を受けて又は職権で、警察署長等による警告を経ずして、公安委員会は、行為者に対して、聴聞を行った上で、被害者に接触・連絡しないよう「禁止命令」を出すことができます。
緊急の必要がある場合には、聴聞することなく、禁止命令を出すことができます。
禁止命令は、行為者に対して禁止命令書を交付する方法で行われます。
禁止命令は、行政処分であり、行為者に義務を課し、その権利を制限する不利益処分です。
被害者が「ストーカー行為」の被害を受けている場合には、警告・禁止命令の他に、被害者は告訴をすることもできます。
ストーカー規制法の罰則
ストーカー行為を行った場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
禁止命令に違反して、ストーカー行為を行った場合には、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金が、禁止命令に違反する行為を行うことによりストーカー行為を行った場合も、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金が科せられることになります。
禁止命令違反の罰則は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
このように、禁止命令が出され、その禁止命令に違反してストーカー行為を行った、あるいは、禁止命令に違反する行為を行うことによりストーカー行為を行ったとしてら、ストーカー行為を行う場合の罰則よりも加重された刑罰が科されることになります。
ストーカー規制法違反で警告、禁止命令が出されたのであれば、早めに弁護士に相談し、事件を穏便に解決できるようにしましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ストーカー規制法違反事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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