窃盗事件の刑事裁判 刑事事件専門の弁護士
- 2020年10月17日
- コラム
窃盗事件の刑事裁判について、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
窃盗事件で起訴~刑事裁判に発展~
Aさんはコンビニでアルバイトをしていますが、深夜帯に一人で勤務している際に、事務室の金庫に保管している釣銭用の現金や、事務所に保管している食料品等を盗む犯行を1年以上に渡って繰り返していました。
犯行に気付いた店長が仕掛けた監視カメラの映像からAさんの犯行が発覚し、店長が千葉県野田警察署に被害届を提出したことから、Aさんは、窃盗罪で逮捕されてしまいました。
逮捕後Aさんは弁護士を選任し、コンビニの店長に示談を申し入れてきましたが、勾留期間中に示談をすることはできず、前科のあるAさんは起訴されてしまったのです。
Aさんは、店長と示談できていないことから、刑事裁判後に民事裁判を起こされないか不安を感じています。
(フィクションです。)
裁判の種類
裁判は大きく分けて刑事裁判と民事裁判の2種類があります。
簡単に言うと、刑事裁判は、被告人に対して刑事処分を決めるもので、民事裁判は、被告人に対して金銭的な賠償を求めるものです。
刑事裁判
犯罪には刑罰(懲役や罰金など)が科せられています。
窃盗事件が発生すると、被害者が「お金を盗まれました。犯人を捕まえて刑事罰を科してください。」と被害届を出し、警察や検察といった捜査機関が犯罪捜査を行います。
犯罪捜査の過程で、検察官が犯人を起訴して開かれるのが刑事裁判です。
刑事裁判では、被告人が有罪か無罪か、有罪ならどのような刑罰が適切かを判断することになります。
刑事裁判は、検察官に対して、被告人と弁護人という対立構造になり、犯罪被害者への賠償等が保障されるものではありません。
ですから刑事裁判で罰金刑が言い渡されたとしても、その罰金は国に納付するのであって、被害者に支払われるものではないのです。
民事裁判
刑事裁判に対して民事裁判は、被告人に対して、被害者が加害者(被告人)に賠償を求めるものです。
窃盗事件を例すると、物を盗まれた被害者は、警察に被害届を出して犯人を捕まえてもらっても、それだけで被害者は、盗まれた物が返ってきたりといった賠償を受けれるとは限りません。
被害者が、犯人に対して「盗んだ物を返してくれ」「弁償金を払ってくれ」と望むのであれば、改めて裁判を起こさなければならないのです。
これが民事裁判です。
民事裁判には基本的に警察や検察は登場しません。
刑事裁判とは異なり、窃盗事件の賠償を求める民事裁判ですと、原告(物やお金を盗まれた被害者)に対して、被告(窃盗の犯人やその家族等)の対立構造になります。
刑事裁判と民事裁判の関係
基本的に、刑事裁判と民事裁判は無関係だと言えます。
Aさんの起こした窃盗事件を例にすると、刑事裁判でAさんが窃盗罪で有罪判決になったとしても、民事裁判でもAさんが負けるとは限らないのです。
また、示談金や罰金と損害賠償も別物です。
示談金は事件を解決するために支払う金銭で、被害賠償なども含まれ、加害者側から、被害者側に支払われます。
罰金とは裁判を経て出される刑罰の一種で、上記したように被害者側に支払われるものではありません。
これらに対して、損害賠償は損害を賠償するために支払う金銭で、簡単に言うと民事事件を解決するために支払う金銭ということになります。
ただ、事件によっては示談金と損害賠償が同一になる場合もあります。
このように、刑事裁判と民事裁判は大きく異なるのです。
刑事裁判に強い刑事事件専門の弁護士
窃盗事件などの刑事事件においては、刑事手続き中に被害者と示談することによって、被害者に民事請求をされない可能性が高くなります。
刑事手続きとは別に、民事裁判を起こされてしまうと、その裁判費用等で大きな負担を被る可能性があるので、なるべくなら刑事手続き中に被害者と示談することをお勧めします。
窃盗事件の被害者との示談を望む方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部にご相談ください。