少年事件で身柄解放に成功
- 2020年5月17日
- コラム
少年事件での身柄解放活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
~ケース~
千葉県佐倉市に住む中学生のAくん(14歳)は、市内にある施設の女子トイレに盗撮目的で侵入したとして、警備員に現行犯逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、学校に事件のことが知られる前に何とか釈放とならないかと心配でなりません。
(フィクションです。)
少年事件の捜査段階
20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が被疑者である場合、少年法に特別の定めがない限り刑事訴訟法が適用されます。
つまり、捜査段階では、少年も成人の刑事事件とほぼ同じ手続を踏むことになります。
少年であっても、逮捕・勾留される可能性はあるのです。
身体拘束が及ぼす少年への影響
身体拘束は、成人にとっても重大な不利益となります。
身体的精神的に発達途上である少年であれば、なおさらです。
長期間の身体拘束により、学校に事件のことが発覚し、就学している少年が退学や自主退学勧告がなされたり、就職している少年が懲戒解雇となったりする可能性は高くなります。
学校や会社といった所属先がなくなることで、少年の更生にとって重要な社会資源を失い、少年の更生を妨げることになりかねません。
このように、身体拘束は少年に重大な不利益を及ぼし得るものであり、可能な限り回避すべきです。
◇勾留◇
少年を勾留するときには、成人の場合と同じく、勾留の理由および勾留の必要性に加え、「やむを得ない場合」であることが必要となります。
この「やむを得ない場合」については、勾留が少年の心身に及ぼす悪影響と捜査遂行のために勾留を要する具体的な事情を比較衡量して判断されます。
◇勾留に代わる観護措置◇
少年の場合、「勾留に代わる観護措置」という制度が設けられています。
検察官は、刑事訴訟法上の勾留の要件を満たすと判断した場合でも、裁判官に対して勾留に代わる観護措置の請求をすることができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、勾留に関する規定が準用されますが、3つの点で勾留と異なる特徴を有しています。
①勾留に代わる観護措置には、少年鑑別所収容の観護措置だけでなく、家庭裁判所調査官による観護の方法もあります。
実務上、後者はほとんどおこなわれておらず、勾留に代わる観護措置というときは、前者を指すものとなっています。
②勾留は延長が可能ですが、勾留に代わる観護措置の期間は、検察官が請求をした日から10日間で、延長はできません。
③勾留に代わる観護措置として少年鑑別所収容がとられた場合、事件が家庭裁判所に送致されると、当然に家庭裁判所送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされます。
少年の身柄解放に向けた活動
少年の身体拘束を避けるための活動は、成人の場合とほぼ同じで、勾留前と勾留後に分けられます。
◇勾留を避けるための活動◇
弁護士は、少年の弁護人として、勾留、あるいは勾留に代わる観護措置を回避するため、検察官が勾留請求をする前に、検察官に対して本件について勾留の要件を満たしていない旨を述べ、勾留請求しないよう検察官に働きかけます。
検察官が勾留請求をした場合には、裁判官に勾留請求を却下するよう働きかけます。
勾留の要件を満たしていないことや、勾留によって少年が被る具体的な不利益について裁判官に主張します。
◇勾留を争う活動◇
勾留、あるいは勾留に代わる観護措置がとられた後であっても、その決定に対して不服申立を行うことにより、早期釈放を目指します。
勾留を避けるための活動と同様に、勾留、あるいは勾留に代わる観護措置を決定した裁判官とは別の裁判官らに対して、本件が勾留の要件を満たしていないこと、そして、勾留によって少年が被る不利益について具体的に主張します。
この不服申立が認められた場合には、勾留とした決定は取り消され、検察官の勾留請求は却下され、少年は釈放されることになります。
逮捕から勾留・勾留に代わる観護措置が決定するまでは、あっという間です。
早期の身柄解放を実現するためには、迅速に身柄解放活動に着手することが重要です。
あたなの大切なお子様が逮捕、勾留・勾留に代わる観護措置で身体拘束を余儀なくされ、お困りであれば、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
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