処分保留で釈放されたらどうなるの?
- 2021年5月28日
- コラム
処分保留で釈放された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
妻に対する暴行で傷害罪で逮捕
Aさんは、5年前に結婚した妻と、千葉県八千代市で2人で暮らしています。
2年ほど前に妻が不倫をしてからというもの夫婦仲は険悪で、普段から些細なトラブルが絶えません。
そんな中Aさんは、半年ほど前から口論の際に妻を暴行するようになり、3週間ほど前は顔面を手拳で殴り付けてしまい、近所の住民の通報で警察官が駆け付ける騒ぎになりました。
Aさんは、その場で逮捕され、傷害罪で20日間勾留された後、先日、処分保留で釈放されたようです。
(フィクションです。)
夫婦喧嘩に警察が介入
かつては民事不介入を理由に、警察が家庭内のトラブルに介入することはありませんでしたが、平成13年にDV防止法が施行されてからは、家庭内のトラブルであっても積極的に警察が介入するようになり、最近ではAさんのように逮捕されるケースも珍しくありません。
特に最近は、家庭内の事件でも刑事事件化することが多く、被害者の立場にある方の意思に関わらず加害者の身体を拘束するケースも少なくありません。
傷害事件
配偶者に対する暴力(DV・ドメスティックバイオレンス)については、DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)で規制されている部分もありますが、この法律は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的にしており、暴行、傷害の行為そのものを取り締まったり、暴行、傷害した行為者に刑事罰を科すことを目的にしているものではありません。
そのためAさんのように、妻に対して暴行し、妻に傷害を負わせたような事件には傷害罪が適用されます。
傷害罪(刑法第204条)
暴行によって相手に傷害を負わせてしまえば「傷害罪」の適用を受けます。
「躾(しつけ)のつもりで手を上げた。怪我をさせるつもりはなかった。」と言いましても、故意的な暴行行為がある場合は傷害罪に抵触する可能性が非常に高いでしょう。
なお、傷害罪の法定刑は「15年以下の罰金又は50万円以下の罰金」ですので、起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内で刑事罰を受けることとなり、前科が付いてしまいます。
処分保留とは
警察から事件(被疑者)の送致を受けた検察官は、起訴するかどうかを判断します。
~起訴されると~
起訴された場合は、公開される裁判(公判)で刑事処分が決定する場合と、罰金を支払えば裁判は行われずに、全ての刑事手続きが終了する略式起訴(罰金)の場合があります。
~不起訴になれば~
検察官が起訴しないことを「不起訴」といいます。
不起訴の理由は様々ですが、不起訴は、刑事罰が科せられないことを意味しますので前科は付きません。
処分保留とは?
被疑者が、勾留によって身体拘束を受けている場合、その勾留期間は10日~20日と法律で決まっています。
そして検察官は、この勾留の満期時に起訴するか否かを決定しなければなりません。
しかし、様々な事情(主に起訴するだけの証拠が揃っていない)があって検察官が勾留の期間内に、起訴するかどうかの決定ができない場合に「処分保留」となって、勾留されていた被疑者は釈放されます。
「処分保留」となった場合は、その後も引き続き捜査が継続されて、新たな証拠が出てきた場合には、起訴されることもありますが、既に被疑者が釈放されていることもあり、捜査を尽くしても、新たな証拠が出てくる可能性は低く、最終的には不起訴処分になるケースがほとんどのようです。
刑事事件に強い弁護士
傷害事件などの刑事事件で警察に逮捕された場合、刑事罰を受けるという不利益だけでなく、長期の身体拘束によって仕事を辞めざるを得なくなったりして、これまでの生活を送ることが難しくなることもよくあります。
そんな不利益を少しでも減らすには、刑事事件に強い弁護士に弁護活動を任せることが一番です。
刑事事件に強い弁護士のご用命はフリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。