タクシーの無賃乗車 詐欺罪で逮捕されるも勾留を阻止
- 2021年4月26日
- コラム
タクシーの無賃乗車で逮捕された方の勾留を阻止した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
タクシーの無賃乗車~詐欺罪で逮捕~
終電すぎの深夜まで酒を飲んだAさんは、千葉県いすみ市において、お金の持ち合わせがないのにこれをあるように装い、タクシーに乗車しました。
そしてAさんは、タクシーで自宅まで戻ったが、「お金は持っていない」と言って、そのままタクシーを降りて自宅へ入ってしまったのです。
困ったタクシーの運転手が千葉県いすみ警察署に通報したことから、Aさんは、千葉県いすみ警察署の警察官によって、詐欺罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの逮捕を聞いた家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(フィクションです。)
2項詐欺罪
刑法第246条において詐欺罪が定められています。
第1項においては「人を欺いて財物を交付させた者」を、第2項においては「人を欺いて財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者」を、それぞれ詐欺罪として処罰するものとしています。
詐欺罪は財産犯の一種ですが、一般的な財産犯では、具体的な「財物」(お金や物)に対する財産侵害が処罰対象の中心になります。
しかし、詐欺罪など一定の犯罪については、「財物」のみならず「財産上不法の利益」(単に「財産上の利益」ともいいます。)をも、処罰対象としています。
それが、上記の「2項詐欺」(246条2項に規定されている詐欺罪)のようないわゆる2項犯罪(利益罪・利得罪)です。
本件のようなタクシーの乗車詐欺は、いわば「財産上不法の利益」を対象とした2項犯罪の典型的なケースの一つといえます。
Aさんは、支払意思があるかのように見せかけることによってタクシーに乗車し、目的地までの料金分の利益をその対価を払うことなく得ています。
すなわち、タクシーを呼び止めて乗車する(通常なら代金を支払うような乗車行為)という欺く行為によって、有料のタクシーで移動するという「財産上不法の利益」を得ていることになります。
なお、仮にAさんに支払意思があって、実際に財布の中に現金が入っていれば、2項詐欺罪が成立する可能性は低く、あくまで民事上の債務不履行として履行義務を負うにすぎません。
詐欺罪が成立するのかどうかは、弁護士に詳細な事情を話して相談することをお勧めします。
勾留
逮捕されてしまった被疑者は、通常は警察から検察に送られ(送致)、検察官が勾留請求するかどうかの判断をすることになります。
勾留とは、逮捕と同じく被疑者の身体を拘束する処分(実務上は逮捕と同じく警察署に留置されることになります。)ですが、逮捕と異なり10日もの間(延長された場合はさらに10日間)身体拘束を受けることになります。
勾留については、刑事訴訟法上、以下の要件を満たすことが必要となります。
まず、被疑者が「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」が必要です。
加えて、被疑者が「定まった住所を有しない」こと、「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」こと、「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある」ことのうち最低1つに該当することも求められます。
そして、捜査側の利益と被疑者が被る不利益とを比較して前者が後者を上回ることを要します(勾留の必要性・相当性)。
ここで、逮捕段階から選任された弁護士であれば、検察官の勾留請求や裁判官による勾留裁判の前に、上記勾留要件を満たさないことなどを検察官や裁判官と面会して主張したり、意見書として書面で主張したりして、勾留の阻止を目指した活動をすることが可能です。
勾留阻止に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、詐欺事件含む刑事事件専門の法律事務所です。
勾留阻止のためには、弁護士による早期の弁護活動が極めて重要です。
詐欺事件で逮捕されてしまった方のご家族は、何時でも繋がるフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。