【薬物事件】覚醒剤の営利目的所持で起訴
- 2021年5月2日
- コラム
【薬物事件】覚醒剤の営利目的所持で起訴された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
【薬物事件】覚醒剤の営利目的所持で起訴
Aさんは、長年覚醒剤の密売で生計を立てています。
これまで十年近くも長きにわたって外国人から仕入れた覚醒剤を、インターネットで集った客に、レターパックで郵送する手口で覚醒剤を密売していたのですが、ついに先日、関東信越厚生局麻薬取締部に、成田市の自宅を捜索されて、密売用に隠し持っていた覚醒剤が発見されてしまい、Aさんは、覚醒剤の所持違反で現行犯逮捕されてしまいました。
逮捕罪名は、覚醒剤取締法違反の所持罪でしたが、20日間の勾留期間中に厳しい取調べを受け、その後、営利目的の所持罪で起訴されてしまったのです。
(フィクションです。)
覚醒剤の営利目的所持罪
覚醒剤取締法で、覚醒剤の所持を禁止しています。
自分で使用する目的などの、非営利目的の単純な所持事件ですと、起訴されて有罪が確定すれば10年以下の懲役が科せられます。
特別な事情がない限りは、初犯だと執行猶予判決となる可能性が高く、刑務所に服役することは免れますが、再犯の場合は、実刑判決の可能性が高くなります。
しかし営利目的の場合ですと、初犯であっても実刑判決が言い渡される可能性があるので注意が必要です。
密売等の営利の目的で覚醒剤を所持していたと認められた場合、営利目的の覚醒剤所持罪となり、この罪で起訴されて有罪が確定すれば、1年以上の有期懲役が科せられることとなり、情状によっては300万円以下の罰金を併せて科せられます。
「営利目的」って何ですか?
覚醒剤取締法では、大きく分けて所持、譲渡、譲受、使用、輸出入、製造を禁止しており、それぞれの違反形態は、非営利目的と営利目的とに分かれています。
そして営利目的には加重処罰規定を設けているのです。
このような加重処罰規定が設けられたのは、財産上の利得を目当てとして犯罪を行うことが道義的に厳しく非難に値するというだけでなく、一般にその行為が反復され、覚醒剤の濫用を助長・増進させ国民の保健衛生上の危害を増大させる危険性が高いからです。
営利の目的は、犯人が自ら財産上の利益を得、又は第三者に得させることを動機・目的とする場合を意味します。
警察等の捜査当局は、押収した覚醒剤の量や、実際に覚醒剤を買った人物がいるかどうか(密売履歴)、覚醒剤を密売して得た財産等から営利目的を立証するのですが、単に覚醒剤を有償で譲り渡すことだけで営利目的と認められるわけではありません。
営利目的の覚醒剤所持罪は、非営利目的の単純な所持罪に比べて非常に重たい法定刑が定められています。
営利目的の覚醒剤所持事件で逮捕、起訴された場合は、初犯であっても刑務所に服役する可能性があるので、早期に薬物事件に強い弁護士を選任する事をお勧めします。
薬物事件は警察以外も捜査する
犯罪を捜査するのは警察や検察だけだと思っているかもしれませんが、犯罪を捜査できるのは決して警察や検察だけではありません。
その中でも麻薬取締官は、警察官とは異なり、違法薬物の捜査がのみが許されてる、厚生労働省の職員のことで、巷では「麻薬Gメン」と呼ばれています。
麻薬取締官は、薬物捜査に限って捜査権が与えられており、拳銃や警棒等の武器の所持も法律で認められています。
麻薬取締官は、麻薬及び向精神薬取締法やあへん法、麻薬特例法で、警察捜査では許可されていない「おとり捜査」がある程度許されています。
そのため麻薬取締官は薬物に対する専門的な知識を有しており、麻薬取締官の多くは薬剤師の国家資格を有しています。
麻薬取締官に逮捕された場合でも、基本的な捜査手続きは警察に逮捕された場合と同じですが、麻薬取締官が所属する厚生労働省の地方厚生局麻薬取締部にある留置場は、勾留中の被疑者を収容する事ができないので、拘置所で身体拘束を受ける場合がほとんどです。
薬物事件に強い弁護士
成田市で営利目的の覚醒剤所持事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が麻薬取締官に逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部にご相談ください。
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