盗品売買・譲り受け等
弁護士が本人に代わって被害者と示談するなどの弁護活動を行うことで,有利な処分を獲得する可能性が高くなります。
第1 盗品売買・譲り受け等
「盗んだものとわかっていたけど,友人から高級腕時計を定価の3割の値段で購入してしまった」
「盗んだものとわかっていたけど,彼女からどうしてもとお願いされ,ブランドバッグを自分の部屋に保管していた」
このような行為をしてしまった場合,盗品等関与罪に問われる可能性があります。
もっとも,このような行為をしてしまったとしても,少しでも処分を有利にするためにできることはあります。
ここでは盗品等関与罪はどのような場合に成立するのか,前科が付くのを避けるためにはどうすればいいのかを解説します。
第2 盗品等関与罪とは
1 成立要件
盗品等関与罪は「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた」場合,「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を運搬し,保管し,若しくは有償で譲り受け,又はその有償の処分の斡旋をした」場合に成立します。
「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」といえるためには,窃盗罪,強盗罪,詐欺罪,恐喝罪,横領罪等の「財産に対する罪」であることが必要になります。
「領得」とは,物を直接領得することを意味します。このことから,盗んだ時計を換金して得た金銭などは同一性を失った代替物にすぎず,財産犯によって直接領得された物とはいえません。 「無償で譲り受けた」とは無償で盗品等の交付を受け,取得することをいいます。
「運搬」とは,委託を受け,交付された盗品等の所在を移転させることをいいます。有償,無償は問いません。
「保管」とは,委託を受け,盗品等の占有を得て管理することを言います。有償,無償は問いません。
「有償譲り受け」とは,有償で盗品等の交付をうけ,その処分権を取得することをいいます。
「有償処分のあっせん」とは,盗品等の優勝の処分を仲介することをいいます。処分は有償であることが必要になりますが,あっせん自体は有償・無償を問いません。
盗品等関与罪は,その物が盗品等であることの認識が必要になります。もっとも,何らかの財産に関する犯罪により得られた物であるとの認識があれば十分であり,その犯罪がいったいどのような犯罪か,その被害者または犯人が誰かを知る必要はありません。
2 罰則
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた場合は,3年以下の懲役に処されることになります。
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を運搬し,保管し,若しくは有償で譲り受け,又はその有償の処分の斡旋をした場合は, 10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処されることになります。
第3 身柄拘束されてしまった場合
もし,盗品等関与罪の嫌疑をかけられた場合,突然逮捕,勾留されることにより身柄を拘束される場合があります。身柄拘束が長期化した場合,その間学校や仕事には当然行くことが出来なくなるので,日常生活に多大な影響を及ぼしかねません。
日常生活を取り戻すためにも少しでも早く身柄を解放される必要がありますので,そのためには弁護士による保釈等の不服申し立てを行うことが有用です。起訴される前の準抗告という不服申し立てには費用は掛かりませんが,起訴後の保釈請求という不服申し立てをした場合には,保釈保証金という費用が必要になります。このことから,出来るだけ早く弁護士が対応していくことが重要になります。刑事事件専門弁護士であれば,より豊富な経験と知識をもとに早期の身柄解放活動を行うことができます。
第4 盗品等関与罪を起こしてしまったら
・すぐに弁護士に連絡する
少しでも早く弁護士に相談することが重要です。 逮捕されている場合には,すぐに接見に行き,事情を聞いたうえで取り調べにどのように対応すべきかを具体的にアドバイスします。そして,早期の身柄解放のための活動にすぐに取り掛かります。
・被害者と示談する
本罪は被害者が存在する犯罪です。そこで,被害者に対して,謝罪や被害弁償を早期に行うことで,警察が未介入の場合には,事件が発覚する前に解決することができます。すでに警察が介入した後だとしても,謝罪や被害弁償を行ったという事実から,早期の身柄解放や処罰の軽減が見込まれる可能性が高くなります。
第5 否認する場合
自分は盗品等関与罪にあたる行為などしていないとして犯罪成立を争う場合,まず捜査機関からの取調べにおいて不利益な書面を作成されないようにすることが必要になります。そのためには,取り調べにおいてどのような対応をすべきなのか,取り調べを受けるにあたりどのような権利があるのかを事前に弁護士から聞いておくことで,不利益な書面が作成されることを防ぐことが出来ます。また弁護士が直接本人から事件のことに関する供述を正確に聞き取り,書面としてまとめることで証拠化することも可能です。そして本人の言い分をもとにその言い分を裏付ける証拠を収集することで,否認主張のサポートをすることができます。
第6 前科を避けるためには
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上田 孝明