横領 背任
弁護士が本人に代わって被害者と示談するなどの弁護活動を行うことで,有利な処分を獲得する可能性が高くなります。
第1 横領 背任
「借金の返済に困っていたことから,友人から預かっていた時計をネットオークションで売却してしまった」
「会社で経理を担当しているが,今月の生活費が足りず,記録を改ざんして数万円を取得してしまった」
このような行為をしてしまった場合,横領罪,背任罪に問われる可能性があります。
もっとも,このような場合でも少しでも処分を有利にするためにできることはあります。
ここでは,横領罪,背任罪がどのような場合に成立するのか,前科が付くのを避けるためにはどうすればいいのかを解説します。
第2 横領罪とは
1 成立要件
横領罪は「自己の占有する他人の物を横領した」場合,「自己の物であっても,公務所から保管を命ぜられた場合において,これを横領した」場合に成立します。
「物」とは,動産だけでなく不動産も含むとされていることから,家や土地もその対象となります。
「占有」とは,処分の濫用のおそれのある支配力をいいます。具体的には物に対して事実上または法律上支配力を有する状態をいいます。
「法律上の支配」にあたる具体例は不動産の占有と預金の占有です。
このことから,友人から現金の保管を頼まれ,自宅に保管した場合でも自己の口座に保管した場合でも,これを自己のために費消すれば横領罪にあたることになります。
「横領」とは,不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。「不法領得の意思」とは,他人の物の占有者が委託の任務に背いて,その物につき権限がないのに,その物の経済的用法に従って,所有者でなければできないような処分をする意思をいいます。
2 罰則
横領罪は5年以下の懲役に処されることになり,罰金刑はありません。
3 他の犯罪との関係
(1)業務上横領罪
ア 成立要件
業務上横領罪は,「業務上自己の占有する他人の物を横領した」場合に成立します。
「業務」とは,社会生活上の地位に基づいて反復または継続して行われる事務をいい,職業である必要はありません。典型的なものとしては,質屋,運送業者,クリーニング業者などがあげられます。また,その会社・団体の金銭を保管する会社員,銀行員などもあたります。
「業務」の根拠は,必ずしも法令に定められていなくてもよく,慣習や契約によるものでもいいと考えられています。また,本務ではなく兼務としてなされている場合でも該当すると考えられています。
イ 罰則
業務上横領罪は10年以下の懲役に処されることになり,罰金刑はありません。
(2)占有離脱物横領罪
横領罪の「占有」には他人からの委託信任関係を原因とするものであることが必要になります。 このことから,委託信任関係がない場合,つまり何人の占有にも属していない他人の物や偶然に自己の占有に帰属した物については,「占有離脱物横領罪」が成立することになります。
第3 背任罪とは
1 成立要件
背任罪は「他人のためにその事務を処理する者が,自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で,その任務に背く行為をし,本人に財産上の損害を加えた」場合に成立します。
「事務を処理する者」とは,他人の事務をその他人のために行う者のことをいいます。「他人」とは,行為者に事務処理を委託した者をいい,自然人,法人,法人格のない団体,国・地方公共団体も含まれます。
「事務」は私的事務か公的事務か,法律行為か事実行為かどうかも問いません。
「本人」とは,この「他人」のことを指しています。
つまり,「他人のためにその事務を処理する」とは,他人すなわち本人の事務をその本人に代わって行うことをいいます。
「任務」とは,その事務の処理者として当該具体的事情のもので当然なすべきものと期待されているものをいいます。 「背く」とは信任関係に違背することをいいます。
「任務違背」かどうかは,法令,通達,契約,委任の趣旨等を考慮して,通常の事務処理の範囲を逸脱していたかどうかによって判断されます。 例えば,銀行の行員が回収の見込みが全くないも関わらず,何らの担保や保証もなしに高額の金銭を貸し付けた場合は「任務違背」にあたります。
「財産上の損害を与えた」場合に成立することから,背任行為により本人に財産上の損害が発生したことが必要になります。被害者の財産状態の全体を考慮して損害があったときに初めて成立することになります。 このことから,100万円を貸し付けたが,100万円を回収できなかった場合であっても,100万円の価値のある担保を取っていた場合には,「財産上の損害を与えた」場合にはあたりません。
2 罰則
背任罪は5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることになります。
第4 身柄拘束されてしまった場合
もし,横領罪・背任罪の嫌疑をかけられた場合,突然逮捕,勾留されることにより身柄を拘束される場合があります。身柄拘束が長期化した場合,その間学校や仕事には当然行くことが出来なくなるので,日常生活に多大な影響を及ぼしかねません。
日常生活を取り戻すためにも少しでも早く身柄を解放される必要がありますので,そのためには弁護士による保釈等の不服申し立てを行うことが有用です。起訴される前の準抗告という不服申し立てには費用は掛かりませんが,起訴後の保釈請求という不服申し立てをした場合には,保釈保証金という費用が必要になります。このことから,出来るだけ早く弁護士が対応していくことが重要になります。刑事事件専門弁護士であれば,より豊富な経験と知識をもとに早期の身柄解放活動を行うことができます。
第5 横領罪・背任罪を起こしてしまったら
・すぐに弁護士に連絡する
少しでも早く弁護士に相談することが重要です。 逮捕されている場合には,すぐに接見に行き,事情を聞いたうえで取り調べにどのように対応すべきかを具体的にアドバイスします。そして,早期の身柄解放のための活動にすぐに取り掛かります。
・被害者と示談する
本罪は被害者が存在する犯罪です。そこで,被害者に対して,謝罪や被害弁償を早期に行うことで,警察が未介入の場合には,事件が発覚する前に解決することができます。すでに警察が介入した後だとしても,謝罪や被害弁償を行ったという事実から,早期の身柄解放や処罰の軽減が見込まれる可能性が高くなります。
第6 否認する場合
自分は横領・背任行為などして犯罪成立を争う場合,まず捜査機関からの取調べにおいて不利益な書面を作成されないようにすることが必要になります。そのためには,取り調べにおいてどのような対応をすべきなのか,取り調べを受けるにあたりどのような権利があるのかを事前に弁護士から聞いておくことで,不利益な書面が作成されることを防ぐことが出来ます。また弁護士が直接本人から事件のことに関する供述を正確に聞き取り,書面としてまとめることで証拠化することも可能です。そして本人の言い分をもとにその言い分を裏付ける証拠を収集することで,否認主張のサポートをすることができます。
第7 前科を避けるためには
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上田 孝明