ストーカー事件
刑事事件に特化した弁護士に依頼することにより,示談交渉や早期の身柄解放などの点で充実した弁護活動を期待することが出来ます。
1 ストーカー事件
「息子が元交際相手に対してストーカー行為をしたため,逮捕したという連絡が警察からあった」
「娘がストーカー事件で逮捕されたので,被害者の方と示談したいが連絡先がわからない」
現在このような悩みや不安を抱えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
早期の身柄解放を行うためには早急に弁護士に依頼することが必要になります。
また,被害者の示談にあたって,本人または本人の家族が捜査機関を通じて被害者の連絡先を直接聞くことはできません。 弁護士であれば捜査機関を通じて被害者の連絡先を聞くことができます。
逮捕されたけど,このままずっと外に出ることはできないの?
少しでも刑を軽くしたい場合,どうすればいいの?
今回はストーカー行為をしてしまったときに成立する犯罪,身柄拘束の解放,有利な処分を獲得するために行うべき活動について説明していきます。
第2 ストーカー事件について
1 ストーカー行為とは
ストーカー行為等の規制等に関する法律によれば,「ストーカー行為」とは,同じ人に「つきまとい等」を繰り返すことと定義されています。
2 つきまとい等とは
つきまとい等には以下のものがあります
- つきまとい,待ち伏せ,押し掛けること
- 行動を監視していると告げること
- 面会,交際その他義務のないことを行うことを要求すること
- 著しく粗野又は乱暴な言動をすること
- 無言電話,複数回電話やメール,FAXを送ること
- 汚物,動物の死体といった不快にさせるものを送付すること
- 名誉を害する事項を告知すること
- 性的羞恥心を害すること
3 警告・禁止命令について
警察は被害者からつきまとい等の被害の申し出があった場合,加害者に対して 更に反復してつきまとい等をしないように警告します。
警告を受けた後でもつきまとい等を続けた場合には被害者の申し出または職権で禁止命令が出されることがあります。禁止命令では,さらに反復してつきまとい等をしてはならないことと,今後反復してつきまとい等が行われないようにするために必要な事項を定めることが出来ます。
4 罰則
ストーカー行為をした場合には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。
禁止命令に違反した場合には違反の内容によって法定刑が異なります。
禁止命令に違反してストーカー行為をした場合には2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処されます。
第3 ストーカー事件における処分の判断視点
1 事件の経緯・行為態様
今回の事件の経緯,動機,その行為態様が悪質であればあるほど重い処分が下される可能性が高くなります。
2 被害者との示談状況
被害者との間で示談が成立している場合,有利な処分になる可能性が高くなります。
3 再犯防止のための環境調整
今後の再犯防止のために家族や周囲の人間が協力してくれることを約束してくれている状況であれば,有利な処分になる可能性が高くなります。
第4 身柄拘束されてしまった場合
もし,ストーカー規制法違反の嫌疑をかけられた場合,突然逮捕,勾留されることにより身柄を拘束される場合があります。身柄拘束が長期化した場合,その間学校や仕事には当然行くことが出来なくなるので,日常生活に多大な影響を及ぼしかねません。
日常生活を取り戻すためにも少しでも早く身柄を解放される必要がありますので,そのためには弁護士による保釈等の不服申し立てを行うことが有用です。起訴される前の準抗告という不服申し立てには費用は掛かりませんが,起訴後の保釈請求という不服申し立てをした場合には,保釈保証金という費用が必要になります。このことから,出来るだけ早く弁護士が対応していくことが重要になります。刑事事件専門弁護士であれば,より豊富な経験と知識をもとに早期の身柄解放活動を行うことができます。
第5 ストーカー事件を起こしてしまったら
・すぐに弁護士に連絡する
少しでも早く弁護士に相談することが重要です。
逮捕されている場合には,すぐに接見に行き,事情を聞いたうえで取り調べにどのように対応すべきかを具体的にアドバイスします。
そして,早期の身柄解放のための活動にすぐに取り掛かります。
・被害者と示談する
本罪は被害者が存在する犯罪です。そこで,被害者に対して,謝罪や被害弁償を行ったという事実から,早期の身柄解放や処罰の軽減が見込まれる可能性が高くなります。
第6 否認する場合
自分はストーカー規制法違反に当たる行為などしていないとして犯罪成立を争う場合,まず捜査機関からの取調べにおいて不利益な書面を作成されないようにすることが必要になります。そのためには,取り調べにおいてどのような対応をすべきなのか,取り調べを受けるにあたりどのような権利があるのかを事前に弁護士から聞いておくことで,不利益な書面が作成されることを防ぐことが出来ます。また弁護士が直接本人から事件のことに関する供述を正確に聞き取り,書面としてまとめることで証拠化することも可能です。そして本人の言い分をもとにその言い分を裏付ける証拠を収集することで,否認主張のサポートをすることができます。
第7 前科を避けるためには
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千葉支部 支部長 弁護士
上田 孝明